資産運用は、もはや一部の人たちだけのものではなく、あらゆる世代にとって身近な選択肢となりつつあります。特に新NISA制度のスタートを機に、将来の資金形成を見据えた積立投資を始める方が急増しています。

2025年6月末時点のデータによれば、2025年中のつみたて投資枠の買付総額は全世代合計で3兆円を突破しており、なかでも30歳代の投資額は7000億円を超えています。この数字からも、若い世代が将来への資産形成に積極的に取り組んでいる様子がうかがえます。

つみたて投資枠における年代別買付額(2025年6月末時点)1/3

つみたて投資枠における年代別買付額(2025年6月末時点)

出所:金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について」

30歳代から積立投資を始めることは、時間を味方にすることで複利効果を最大限に活用できるという点で大きな意味があります。

本記事では、30歳から35年間にわたる投資を行った場合のシミュレーションをご紹介した上で、長期投資のメリットやポイントを解説します。これから投資を始めようとお考えの方はもちろん、すでに始めている方にとっても、今後の参考になれば幸いです。

1. 投資シミュレーション

まず初めに、投資シミュレーションの結果をご覧ください。

毎月1万円の積立投資を35年間行い、年利回り4%で運用をすると、以下のような結果となります。

将来の運用資産額(35年積立投資シミュレーション)2/3

将来の運用資産額(35年積立投資シミュレーション)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

【シミュレーション結果】

  • 投資元本:420万円
  • 投資利益:480万円
  • 最終資産:900万円

上記の条件による投資では、最終的な資産額が投資元本の2倍以上になる結果となりました。月1万円という比較的少額の投資でも、35年間という長期間にわたり継続することにより、大きな成果を達成できる可能性があることがわかります。

ただし、シミュレーションの利回りはあくまでも過程の数値であるため、実際の運用ではこれよりも大きな資産となることもあれば、逆にここまで増えない可能性もある点は注意が必要です。

2. 長期投資のメリット

シミュレーションからもわかるように、長期投資には資産をコツコツと育て、大きな結果を達成する可能性が秘められています。

そこでここからは、長期投資のメリットを3点解説します。

2.1 複利効果を活かせる

長期投資の最大のメリットは「複利効果」を最大限に活用できることです。複利とは「利益に対してさらに利益が生まれる」効果のことで、投資期間が長ければ長いほどその威力は増していきます。

複利の効果を具体的にイメージするために、元本100万円を年利4%で10年間運用した場合の「単利」と「複利」の差を比較してみましょう。

【ケースA】単利で運用した場合(利益を毎回受け取る)

毎年、元本の100万円に対して4%の利益(4万円)が発生します。

  • 10年間の利益合計:40万円
  • 10年後の資産合計:140万円

【ケースB】複利で運用した場合(利益を再投資する)

出た利益をそのまま運用に回すため、翌年は「104万円」に対して4%の利息がつきます。

  • 10年間の利益合計:約48万円
  • 10年後の資産合計:約148万円

どちらも投資元本と期間は同じですが、複利で運用するだけで約8万円もの差が生まれました。もしこれが20年、30年となれば、その差は数十万、数百万円へと広がっていきます。

このように、同じ金額を投資する場合でも、運用期間を長く取ることで複利の効果を最大限に活かすことができ、より大きな成果につながるのです。

長期投資のメリット3/3

長期投資のメリット

出所:金融庁「資産形成の基本」

2.2 価格変動リスクを抑えられる

経済市場の変動は、5年や10年などの短期的には予測困難で最悪の場合には元本割れのリスクもありますが、20年以上の長期的に見れば全体的に上昇傾向にあります。

NISAのつみたて投資枠で選択できるほとんどの商品が「インデックスファンド」と呼ばれ、経済指標と連動をして値動きをする銘柄であるため、長期投資をすることで、短期的な価格変動に悩まされることなく、市場の長期的な成長の恩恵を受けられます。

また、一定額を長期的に投資する時間分散の効果により、高値の時に多く購入してしまう高値づかみのリスクも軽減できます。投資期間を長くして、一定額で積み立てることにより、短期的な価格変動リスクを回避することができるのです。

2.3 無理なく投資ができる

長期投資の魅力の一つとして、生活を過度に切り詰めることなく、将来のための資産形成を進められる点も挙げられます。

たとえば、まだ投資に慣れないうちから背伸びをして毎月の積立額を高く設定してしまうと、家計を圧迫し、不測の事態に対応できなくなるばかりか、精神的な負担から継続そのものが困難になる可能性があります。しかし、積立額を日々の生活の中で少し意識すれば確保できる範囲に設定すれば、心理的なゆとりを保ちながら、着実に資産を積み上げていくための賢明な第一歩となります。

「資金がなくて投資ができない」と躊躇う気持ちがあっても、投資の一歩を踏み出しやすくなるはずです。

また、35年間といった長期的な視点で投資計画を立てることで、「時間」を最大の味方につけることができます。複利の力によって大きな資産になる可能性があるだけでなく、短期的な市場の価格変動に悩む必要がなくなり、日々の値動きを細かく追いかける手間から解放されます。

このように、長期投資は「今」の楽しみや生活の質を犠牲にすることなく、未来の目標に向かって、着実に歩みを進めることが可能です。

3. おわりに

今回のシミュレーションをご覧いただき、長期投資の可能性を感じていただけたのではないでしょうか。

「30歳はまだ早い」と感じるかもしれませんが、積立投資は早く始めるほど「時間分散」が効き、市場の価格変動リスクを抑えることができます。さらに、長期運用は「複利効果」を最大化させ、安定して資産を育てることを実現するための合理的なアプローチと言えます。

重要なのは、月々の投資額の大小よりも「一日でも早く始める」こと。少額からでも、時間をかけることで効率的な資産形成が可能です。 ご自身の豊かな未来を築くため、ぜひこの機会に「自分への投資」をはじめてみてはいかがでしょうか。

参考資料

斎藤 彩菜