これから年金を受給する世代の方の中には、「老後の生活は苦しくないのか」「年金だけで生活できるのか」など不安に感じている方もいるでしょう。
老後資金が2000万円不足するといったことが言われたり、老後破綻という言葉を見聞きしたりすると、ますます不安は募るものです。
本記事では、現在の年金受給世帯の経済状況を確認するとともに、平均年金受給額や、収入が一定水準以下の場合に支給される「年金生活者支援給付金制度」について解説していきます。
1. 高齢者世帯の6割弱が「生活が苦しい」
厚生労働省が公表した「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯の59%が「生活が苦しい」と感じています。
2022年の調査では48.3%だったため、10%ほど増加しており、年金受給世帯の多くが経済的に厳しい状況であることがうかがえます。
調査結果の詳しい内訳は以下の通りです。
- 大変苦しい:26.4
- やや苦しい:32.6%
- 普通:36.7%
- ややゆとりがある:3.9%
- 大変ゆとりがある:0.4%
ゆとりがあると感じている高齢者世帯は、わずか4.3%です。
また、2018年からの調査結果を見ると、生活が苦しいと感じている高齢者世帯の割合が最も多いのは、2023年となっています。
これまでも半数前後の高齢者世帯が生活の苦しさを感じていましたが、6割弱を占めているのは2023年のみです。
1.1 年金だけで生活できているのは約4割
厚生労働省の同調査結果によると、高齢者世帯のうち年金だけで生活費をカバーできているのは、41.7%とされています。
約6割の世帯では年金だけでは生活費が足りず、働いて収入を得たり貯蓄を崩したりして補填していると考えられます。
また、近年の長引く物価高も、生活の苦しさを感じる世帯が多い原因のひとつといえるでしょう。