3. 2025年度の給付率の変更でどのくらい給付額が変わる?

では最後に、2025年度の給付率の変更でどのくらい給付額が変わるのか確認していきましょう。

現行制度では、60歳時点での賃金が月30万円だった人が、60歳以降に収入が月18万円に減少した場合、18万円の15%にあたる2万7000円が毎月支給されます。

一方、改正後は最大給付率が10%に引き下げられるため、同じ条件では支給額が「1万8000円」に減少します。

【60歳時点での賃金が月30万円だった人が、60歳以降に収入が月18万円に減少した場合の給付額】

  • 現行(2024年度までに支給が開始される人):2万7000円
  • 改正後(2025年度以降に支給が開始される人):1万8000円

このように、2025年度以降に支給が開始される人は、従来よりも実質的な賃金が減少する可能性が高いと予測されます。

上記をふまえ、今後企業では、2025年度の給付率変更に伴い、高齢労働者がより意欲的に働けるような対応が求められるでしょう。

4. 【2025年度から給付率変更へ】対応策の検討を

本記事では、「高年齢雇用継続給付」の概要と、2025年度からの給付率変更による影響について詳しく解説しました。

2025年度からの給付率引き下げは、今後60歳を迎える労働者に大きな影響を与えると予想されます。

現行制度と改正後の給付額の差は、年額にして数十万円に上るケースもあり、収入が減少したシニア世代の働き手にとっては、さらなる負担増が見込まれます。

今回の改正に伴い、個人と企業の双方で対応策を検討する必要があり、企業にはシニア労働者の働く意欲を支える新たな工夫や支援策が求められるでしょう。

参考資料

和田 直子