3. 世帯年収1500万円の割合はどのくらい?年齢層や理念

ここからは世帯年収から見た富裕層、いわゆる「インカムリッチ」たちの消費行動について、博報堂の調査結果をもとに深掘りしていきます。

3.1 世帯年収の内訳と年代別構成比

株式会社博報堂の「新富裕層“インカムリッチ”生活者調査」によると、世帯年収1500万円以上の「インカムリッチ」に該当する人の割合は、全体のわずか2.4%に過ぎないことがわかりました。

年代別の構成比を見ると、最も多いのは男女ともに40歳代。キャリアアップへの努力が実を結び、所属先でしかるべきポジションに就くなどしたことで収入が増えたという人もいるでしょう。

保有資産を見ると。全体でもインカムリッチでも「現金・預貯金」が最も多い結果となりました。その一方で、インカムリッチの約4割が「自宅の土地」(45.4%)や「株式」(45.4%)、「生命保険」(41.1%)を保有している点が特徴的です。

さらに、「投資信託」(34.8%)や「貴金属・宝石類」(18.9%)を保有している割合も全体より10ポイント以上高く、預貯金以外の様々な金融商品を積極的に活用している様子もうかがえます。

インカムリッチたちのこうした特徴は、

  • 「資産運用では、短期的な利益より、中長期でのリターンを重視」(61.1%)
  • 「リスクを考え、資産の配分を管理」(54.6%)
  • 「ネット証券などを通じて自分で投資」(51.5%)
  • 「貯蓄よりも投資にお金を回したい」(46.3%)

などの回答が全体より多かったことからも顕著です。

次章では、ファイナンシャルアドバイザーである筆者より、現役世代が資産家に近づくための3つのヒントをお伝えしたいと思います。

4. 現役世代が「資産家に近づくための」3つのヒント

「1億円超の資産家」なんて、自分にはまったく縁のない世界だと感じる人も多いでしょう。しかし、適切なマネープランを立て、日々のお金の使い方や行動を意識することで、限られた資産でも上手に増やしていくことは可能かもしれません。

そこで参考にしたいのが、富裕層と呼ばれる資産家たちが普段から実践している心がけです。

彼らの資産規模には及ばなくても、その考え方や行動をヒントにすることで、手元の資産を大切に育て、将来に向けた資産形成に繋げていけると良いですね。

4.1 ヒント1:長期的な視点を持つ

資産形成は一朝一夕にできるものではありません。早めに適切なマネープランを作り、コツコツと資産運用をおこなっていくことが大切です。

大きな金額をゴールとする場合、時間を味方につけて「複利の力」を最大限に活用することがカギとなります。運用益を再投資に回すことで、時間の経過とともに資産を効率よく増やす効果が期待できます。

また、相場の変動に一喜一憂することなく、長期的な視点で資産運用を続けていく「根気強さ」も大切ですね。

投資初心者の方であれば、少額から始められるNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)などの税制優遇制度の活用からスタートを検討してみるのも一案です。

4.2 ヒント2:複数の収入源を作る

勤務先からの給与など、メイン収入以外の収入源の確保が可能であれば、ぜひ検討すると良いでしょう。

不動産収入や株式の配当などの「不労所得」が入るしくみであれば、万が一健康上などの問題で働けなくなったり収入減となったときの強い味方となり得るでしょう。

また、副業や兼業で、収入を増やしながらスキルを磨くことができれば、目前の収入アップだけではなく、長い目で見たキャリア形成にプラスとなる可能性もあります。

4.3 ヒント3:ていねいな家計管理をおこなう

日ごろからのていねいな家計管理は、資産形成の基礎となる大切な部分ですね。「支出を減らして、貯蓄を増やす」この基本をもう少し具体的にイメージしてみましょう。

  • 「本当に必要と感じる対象にお金を使い、不要な支出はたとえ小さな額でも減らす」
  • 「収入が増えても生活レベルは上げない」

こうしたマインドを持ちながら、収入・支出を見える化してみましょう。ムダな支出を減らし、預貯金や投資へのモチベーションが上がるきっかけになるかもしれません。

資産家に近づくためには、長期的な視点、複数の収入源、そして丁寧な家計管理が大切となります。「億超え資産家」にはかなわなかったとしても、資産形成の目標に近づくために、ぜひ意識してみましょう。

また投資にはリスクがつきものであることは、忘れないように。長期・分散投資を心掛ける、自分のリスク許容度を知る、市場の動きに目を配るなどの心構えが大切となるでしょう。

5. まとめにかえて

この記事では、日本国内の富裕層の割合や、現役世代が「資産家に近づくための」3つのヒントついて解説してきました。

限られた資産でも上手に増やしていくためのヒントとなるものとして、長期的な視点・複数の収入源・ていねいな家計管理が挙げられます。これらの要素が、富裕層への近道となるかもしれません。

今回ご紹介した、富裕層やインカムリッチになるためには、努力と戦略が必要です。まずはできることから少しずつ始めることで、ご自身も富裕層やインカムリッチの一歩を踏み出すことができるでしょう。

参考資料

杉田 有毅