4. 2024年10月より「社会保険」適用が拡大に
年収が130万円を超えると配偶者の扶養から外れ、社会保険に加入する義務が生じますが、一部の企業では130万円ではなく106万円を超えると社会保険に加入することが求められています。
この「対象となる事業所」の範囲が、2024年10月から51人以上の勤め先に拡大されました。
該当する勤め先に勤務する従業員が、社会保険の加入対象となるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
- 所定内賃金が月額8万000円以上
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
従来とは異なり、今後は比較的小規模な事業所でも「106万円」が一つの壁となる可能性があります。
最低賃金の引き上げにより「106万円の壁」や「130万円の壁」に達してしまうことが考えられ、その場合、勤務時間の調整を余儀なくされるケースもあるかもしれません。
このような状況を踏まえ、「年収の壁・支援強化パッケージ」などの施策を活用し、適切な対策を検討することが求められます。
5. まとめにかえて
10月以降、最低賃金も上がり年収が増える方もいらっしゃるかと思います。しかし、賃金が増えることで「年収の壁」を超えてしまい、結果的に世帯の手取り額が減少してしまうことも考えられます。
年収の壁に向けた施策は今後も展開されていくことが予想されます。政府の動向を注視しておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「最低賃金制度の概要」
- 厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」
- 厚生労働省「社会保険適用拡大 特設サイト」
- 厚生労働省「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)」
- 首相官邸「令和6年7月25日(木)午前 内閣官房長官記者会見」
- 厚生労働省「令和6年度中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(第5回)資料」
- 厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
- 厚生労働省「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について」
林 怜美