2. 【年金の盲点】老齢年金の《額面》と《手取り》
現役世代は、毎月の給与からの天引きされるお金があります。
そのため、額面と手取り額が異なることがよくあります。
シニア世代が受け取る老齢年金も同様で、税や社会保険料などが天引きされるのです。
自治体や日本年金機構から送られてくる書類では「特別徴収」と記載されていますが、「天引き」の表現の方がイメージしやすかもしれません。
以下で、天引きされるものを見ていきましょう。
2.1 個人住民税および森林環境税
一定の条件を満たす場合、前年中の所得に対して課税される住民税は年金からの天引き(特別徴収)で納付します。ただし、非課税となる場合は支払い義務が発生しません。
森林環境税は、2024年度から導入された新しい税で、個人住民税均等割に上乗せして課されます。森林の整備や保全を目的としており、1人あたり年額1000円が課税されます。
2.2 所得税および復興特別所得税
年金は「雑所得」扱いとなるため、一定の金額を超えると所得税が課されます。
あわせて「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律117号)」により、復興特別所得税も課税されます。
2.3 介護保険料
64歳までは健康保険と合算で納付していた介護保険料は、65歳以降は単体で支払います。年金支給額が18万円以上(年額)の場合、介護保険料は年金からの天引きされます。
また、要介護認定を受け介護サービスの利用を開始した後も、介護保険料の納付は生涯続く点には注意が必要です。
2.4 健康保険料
国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料も、原則年金からの天引きで納付します。
ここまでご紹介した、および森林環境税、所得税および復興特別所得税、介護保険料、健康保険料といった税や社会保険料が、老後の年金からも天引きされるのです。
よって、額面と振込額に差が出るケースの方が一般的だと言えます。
また、少子高齢化により、社会保障制度の支え手となる世代も減っています。
介護保険料や健康保険料は今後負担が増えていく可能性は高いと言えるでしょう。
これらは働き盛りの現役世代がいまから心得ておきたい点かもしれません。
3. 【年金の盲点】10月から振込額が変わった人も
年金を受け取っている方にとっては、10月は振込額が変わる可能性がある重要な月です。
年金から天引きされる税金や社会保険料の多くは、10月に最終的な金額が決まることが多いためです。
3.1 仮徴収と本徴収の流れ
4月、6月、8月は「仮徴収期間」
- 前年度の所得に基づいて計算された税額の一部が天引きされます。
- 具体的には、前年の2月に天引きされた金額と同額が天引きされます。
10月、12月、翌年2月は「本徴収期間」
- 6月に確定した当年度の所得に基づいて計算された最終的な税額が天引きされます。
- 仮徴収で天引きされた金額を差し引いた残りの税額が天引きされます。
ただし、本徴収が始まるのが8月からという自治体もあるので、各自で確認することが大切となります。