2025年2月21日に公表された総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国2025年(令和7年)1月分」によると、消費者物価指数の総合指数は前年同月と比べ3.2%上昇していることがわかりました。

物価の上昇が続いているため、生活に負担が生じているご家庭も多いのではないでしょうか。

今回は「世帯年収600万円台の世帯」がどのような生活を送っているのかを深掘りしていきます。

日本における「平均給与の推移」などについてもわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にご覧ください。

1. 日本における平均給与は長らく「400万円台」を維持

国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、日本の平均給与は長年400万円台を維持しています。

しかし、過去10年間を振り返ると、わずかながら上昇傾向が見られます。

1.1 日本の給与所得者の平均年収の推移

【写真1枚目/全7枚】日本における平均給与の推移。以降の写真では「世帯年収600万円台家族」のお金事情を見ていく1/7

日本における平均給与の推移

出所:国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」

  • 2014年:421万円
  • 2015年:423万円
  • 2016年:425万円
  • 2017年:434万円
  • 2018年:439万円
  • 2019年:438万円
  • 2020年:435万円
  • 2021年:446万円
  • 2022年:458万円
  • 2023年:460万円

個人の平均給与はわずかに上昇傾向にあるものの、物価が上昇し続ける中で、生活に苦しむ世帯も少なくないでしょう。

では、「世帯年収」は増加傾向にあるのでしょうか。

1.2 平均所得は「減少傾向」に

厚生労働省の「国民生活基礎調査」に基づき、所得階層別の世帯数の推移を見てみましょう。

2002年の平均所得は602万円でしたが、2023年には524万2000円となり、過去21年間で平均所得が77万8000円減少したことがわかります。

2002年の平均所得額は602万円2/7

2002年の平均所得額は602万円

出所:厚生労働省「国民生活基礎調査2002年」

2023年の平均所得額は524万2000円3/7

2022年の平均所得額は545万7000円

出所:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」

2002年における個人の平均年収は448万円でしたが、2022年における「児童のいる世帯」の雇用者所得平均は710万8000円となっています。

上記から、現在の令和時代において、子どもがいる世帯で「世帯年収600万円台」は一般的な生活水準として位置づけられるでしょう。

では、実際に「世帯年収600万円台」の二人以上世帯はどのような暮らしをしているのでしょうか。

※厚生労働省の「国民生活基礎調査」における「雇用者所得」は、世帯員が勤務先から受け取る給与や賃金、賞与の合計金額を指し、税金や社会保険料を含んでいます。

2. 「世帯年収600万円台」の家庭はどのような暮らしをしている?

続いては、総務省の資料をもとに「年収600万円台世帯」の生活について見ていきます。

まず、「年収600~650万円世帯」と「年収650~700万円世帯」に分けて、各世帯の特徴や生活実態を確認していきましょう。

世帯年収ごとの家庭の様子4/7

世帯年収ごとの家族のようす

出所:総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-」をもとにLIMO編集部作成

2.1 世帯年収600~650万円(二人以上世帯)の特徴や生活実態

  • 世帯主の年齢:54.2歳
  • 世帯人員:3.09人(うち18歳未満:0.71人)
  • 女性の有業率:55.6%
  • 持ち家率:86.5%
  • 平均年収:621万円

年収600~650万円の世帯主の平均年齢は54.2歳で、女性の有業率は55.6%であり、共働き世帯が過半数を占めていることがわかります。

また、年収600万円を超える世帯の44.4%は片働き世帯で、家族構成は3人以上が一般的です。

18歳未満の子どもがいる場合、今後の教育費の準備が重要な課題となるでしょう。

2.2 世帯年収650~700万円(二人以上世帯)の特徴や生活実態

  • 世帯主の年齢:53.1歳
  • 世帯人員:3.20人(うち18歳未満:0.82人)
  • 女性の有業率:51.9%
  • 持ち家率:83.8%
  • 平均年収:672万円

年収650~700万円の世帯では、世帯主の平均年齢が53.1歳となり、先ほどの世帯よりも若干低くなっています。

これは、役職定年などの要因が影響している可能性があります。

また、女性の有業率は51.9%に減少し、18歳未満の子どもが平均0.82人いることがわかります。

次章では、いよいよ本題である「世帯年収ごとの貯蓄額」について確認していきましょう。

3. 世帯年収600万円台世帯の「貯蓄額と負債額」

次に、世帯年収600万円台の世帯における貯蓄額について見ていきましょう。

また、負債がある場合には、純貯蓄額に影響を及ぼすため、負債額もあわせて確認していきましょう。

世帯年収ごとの貯蓄額5/7

世帯年収ごとの貯蓄額

出所:総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-」をもとにLIMO編集部作成

3.1 世帯年収600~650万円(二人以上世帯)の貯蓄額

平均貯蓄額:1517万円
〈内訳〉

  • 金融機関:1498万円
  • うち通貨性預貯金:531万円
  • うち定期性預貯金:448万円
  • うち生命保険など:291万円
  • うち有価証券:228万円
  • 金融機関外:19万円

平均負債額:745万円(うち、住宅・土地のための負債は689万円)

3.2 世帯年収650~700万円(二人以上世帯)の貯蓄額

平均貯蓄額:1780万円
〈内訳〉

  • 金融機関:1732万円
  • うち通貨性預貯金:576万円
  • うち定期性預貯金:428万円
  • うち生命保険など:384万円
  • うち有価証券:344万円
  • 金融機関外:48万円

平均負債額:949万円(うち、住宅・土地のための負債は827万円)

貯蓄額は1500万円を超え、年収の倍以上の資産を持っていることがわかります。

しかし、その一方で負債も多く「貯蓄から負債を差し引いた純資産額」は、年収600~650万円世帯で約700万円、年収650~700万円世帯で約800万円となっており、住宅・土地に関連する負債が大きな割合を占めています。

今後、教育費が増大する世帯が多くなると予想されますが、資産形成を効果的に進めるためにはどのようなアプローチが必要なのでしょうか。

4. 家計の「資産全体のバランス」を把握し計画的に資産形成を進めていくことが大切

将来に向けた資産形成6/7

困る女性の写真

miya227/shutterstock.com

最近では、貯蓄だけでなく資産運用を取り入れる家庭も増えてきました。

新NISAやiDeCoなどが身近になり、まずは始めてみたという方も多いでしょう。

しかし、相談を受けて深く話を聞くと、「何となく始めた」という方が大半であることがわかります。

たとえば、教育費を貯めようとしている方に「なぜ教育費を貯めようと思ったのですか?」と聞くと、「子どもに負担をかけたくないから」と答える方が多いです。

教育費をしっかり貯めている一方で、老後資金がまったく手つかずという家庭もありますが、そうなると、当初の「子どもに迷惑をかけたくない」という目的が達成されるのでしょうか。

教育費はローンで借りることもできますが、老後資金にはそのような選択肢はありません。

重要なのは、貯蓄の目的を明確にすることであり、その目的を実現するためにはどうすれば良いのかを根本から考え直す必要があります。

つまり、ライフプランを短期的な視点だけでなく、全体的に捉えることが大切です。

教育費だけに集中するのではなく、老後資金や住宅ローンの繰り上げ返済なども含めて、計画的に備えていきましょう。

5. まとめにかえて

将来に向けた資産形成7/7

将来に向けた資産形成

出所:Sutthiphong Chandaeng/shutterstock.com

今回は、世帯年収600万円台世帯の生活の様子を深掘りしていきました。

世帯年収650~700万円(二人以上世帯)の平均貯蓄額は1517万円となっており、年収の倍以上の資産があることがわかりました。

しかし、その一方で平均負債額は949万円(うち、住宅・土地のための負債は827万円)で、住宅・土地に関連する負債が大きな割合を占めています。

物価高が続くなか、日々の生活費や教育資金などの出費がありつつ、ご自身の老後資金の準備なども必要となります。

そのため、ライフステージごとに異なる出費の予定額を確認し、計画的に資産形成を進めていくことが大切です。

まずは、預貯金や負債も含めた「家計全体の資産のバランス」を把握することからはじめてみてはいかがでしょうか。

参考資料