老後や将来に対し、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。漠然とした不安を抱えている現役世帯の方も多いのではと思います。

特に老後については公的年金制度があるものの、少子高齢化のさらなる進行や物価高の影響など、将来自分がどの程度老齢年金を受け取ることができ、自分らしい生活を送ることができるのか不透明な部分も多いことが理由の一つと考えられます。

こうした背景のもと、政府は「貯蓄から投資へ」をスローガンに掲げ、国民一人ひとりの資産形成を後押しする施策を進めています。その一環として注目を集めているのがNISA(少額投資非課税制度)です。

2024年に入り、この制度は大幅に改定され、利用のしやすさが向上しました。これに伴い、NISAを活用して資産運用を始める人が増加しているようです。

2024年9月17日、金融庁は「NISA口座の利用状況調査」の結果を公表しました。2024年6月末時点で、NISA口座は約2425万口座となっており、日本人のおよそ5人に1人はNISA口座を持っている状況となっています。

新NISAは、旧制度に比べていくつかの点で変更が加えられています。記事では、新NISAの特徴や変更点を詳しく解説するとともに、積立投資シミュレーションを行いました。

このシミュレーションをもとに、新NISAを活用した資産運用の可能性について、一緒に考えてみましょう。

1. 新NISA制度が2024年に開始

2014年から旧NISAはありましたが、内容が見直され、2024年1月から新NISAが始まりました。

新NISAは、旧NISAとどこが変わったのでしょうか。主な4つの違いに注目し、その概要を整理します。

1.1 現行NISAと新NISAの一覧表

まずは一覧表で見てみましょう。

旧NISA

旧NISA1/3

旧NISA

出所:金融庁「NISAを知る」をもとにLIMO編集部作成

新NISA

新NISA2/3

新NISA

出所:金融庁「NISAを知る」をもとにLIMO編集部作成

 

1.2 旧NISAと新NISAの制度のポイント

旧NISAでは、「一般NISA」と「つみたてNISA」がありました。

【旧NISA】一般NISA

  • 年間非課税枠:120万円
  • 非課税保有期間:5年間
  • 投資可能商品:上場株式、投資信託等

【旧NISA】つみたてNISA

  • 年間非課税枠:40万円
  • 非課税保有期間:20年間
  • 投資可能商品:投資信託やETF

「一般NISA」と「つみたてNISA」の併用はできず、どちらかを選択する方式でした。

新NISAでは、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」が導入されました。

【新NISA】成長投資枠

  • 年間投資上限額:240万円
  • 非課税保有期間:無期限
  • 投資対象商品:上場株式・投資信託など

【新NISA】つみたて投資枠

  • 年間投資上限額:120万円
  • 非課税保有期間:無期限
  • 投資対象商品:投資信託やETF

新NISAでは、非課税保有限度額(総枠)が1800万円(うち成長投資枠1200万円)となり、枠の再利用が可能です。

また、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の併用が可能となっています。

  • 年間投資上限額が増える
  • 非課税保有限度額が新設されて恒久化される

上記の点で、より長期の積立投資がしやすくなります。

なお、旧NISAは2023年末で買付終了となっていますが、非課税口座内にある商品については、新しい制度の非課税限度額の外枠で現行の取扱いが継続されます。

2. 【新NISAのシミュレーション】月3万円を30年間運用すると?

例えば、月3万円を貯金する場合、30年後には1080万円になります。

しかし、インフレのリスクなども考えると、これだけでは不安に感じるかもしれません。

では、新NISAで積み立てた場合のシミュレーションを見てみましょう。

もし「月3万円」を「年率3%」で運用できた場合、30年間の運用結果は次のとおりです。

「月3万円」を「年率3%」で運用できた場合3/3

「月3万円」を「年率3%」で運用できた場合

出所:LIMO編集部作成

2.1 元本・運用収益:総額

  • 開始:0円
  • 2年目:72万円・2万1085円:74万1085円
  • 4年目:144万円・8万7936円:152万7936円
  • 6年目:216万円・20万3382円:236万3382円
  • 8年目:288万円・37万422円:325万422円
  • 10年目:360万円・59万2243円:419万2243円
  • 12年目:432万円・87万2228円:519万2228円
  • 14年目:504万円・121万3969円:625万3969円
  • 16年目:576万円・162万1280円:738万1280円
  • 18年目:648万円・209万8210円:857万8210円
  • 20年目:720万円・264万9060円:984万9060円
  • 22年目:792万円・327万8393円:1119万8393円
  • 24年目:864万円・399万1058円:1263万1058円
  • 26年目:936万円・479万2199円:1415万2199円
  • 28年目:1008万円・568万7281円:1576万7281円
  • 30年目:1080万円・668万2107円:1748万2107円

もし3%で運用できれば、総額は1748万2107円です。元本が1080万円だったので、利益は668万2107円ということにになります。

2.2 複利の効果

また、長期的な積立投資では、複利の効果が大きな力を発揮します。

複利とは、運用収益がさらに収益を生むことで、時間が経つにつれて投資額が加速度的に増えていく現象です。

例えば、先ほどのシミュレーションで見たように、年率3%で運用した場合、30年間で元本1080万円が1748万2107円に増えました。

これは、毎年の運用収益が次の年の元本に加わり、その元本がさらに収益を生むことで、合計額が大きく増えていくためです。

複利効果とは

出所:LIMO編集部作成

2.3 非課税のメリット

通常、運用の利益に対して約2割の税金がかかりますが、NISA制度であれば非課税です。

この分の税金は引かれず、すべて受け取れることになります。

初心者にとって始めやすい理由の一つは、この非課税のメリットが大きいからです。

2.4 NISAにもリスクはある

NISAには多くのメリットがありますが、リスクも伴います。

運用するという性質上、リスクは避けられません。

長期分散投資によってリスクを減らすことはできますが、資産が減少するリスクを完全に排除することはできません。

そのため、自分のリスク許容度をしっかり確認し、預貯金と分散しておくことが大切ですね。

また、運用の結果はあとにならないとわかりません。

シミュレーションはあくまで目安であり、実際の運用結果は異なる可能性があります。

月々の積立に回せる額や目標の金額をしっかり考えて、計画的に運用するとよいでしょう。

3. 継続的な見直しと計画的な運用を

ここまで、新NISAの変更点やそのメリット、注意点について確認してきました。新NISAでは、非課税期間が無期限となり、非課税保有限度額が1800万円に拡充されたことで、これまで以上に使いやすい制度となっています。

しかし、新NISAをはじめとした資産運用は投資信託や株式を中心とした運用商品であるため、元本保証がない点を理解しておくことが重要です。運用を継続していくにあたってどのような「リスク」があるのか、どうすればそのリスクを抑えていけるのか(リスク分散)、しっかりと確認して理解しておくことが肝要です。

基本的には、「長期」「積立」「分散」がキーワードとなってきますので、それぞれどのような意味合いなのか、一度調べてみることも有用だと思います。

さらに、自分のライフステージに合った投資計画を立てることも大切です。予期せぬ出費やライフイベントに備え、運用資産の一部は流動性を確保しておくと安心です。投資を始める前に、自分が無理なく続けられる金額をしっかりと見極めましょう。

焦らず少額からでも始めることで、自分に合った資産形成の方法を見つけられることと思います。大切なのは、継続的な見直しと計画的な運用を心がけ、将来の資産形成に役立てていくことです。

4. 新NISAのよくあるご質問(FAQ)

新NISAでよく寄せられる質問にお答えします。

4.1 Q1.非課税保有限度額が1800万円ですが、つみたて投資枠だけで使いきることはできますか?また、つみたて投資枠を使わず、成長投資枠だけを利用できますか?

A1.つみたて投資枠だけで1800万円を使いきることはできます。成長投資枠だけを利用することも可能ですが、成長投資枠の非課税保有限度額は最大1200万円となっています。

4.2 Q2.非課税保有限度額は買付額ベースで管理されますか?

A2.「買付け残高(簿価残高)」で管理されます。また、NISA口座内の商品を売却した場合には、その商品の簿価分の非課税枠が再利用できるようになります。

4.3 Q3.非課税保有限度額を管理するとのことですが、金融機関は変更できますか?

A3.金融機関は変更できます。非課税保有限度額については国税庁において一括管理を行います。なお、金融機関変更の方法やスケジュールはご利用の金融機関で事前に確認しましょう。

参考資料