年金は、老後の暮らしを支える大切なお金ですが、実際にどのくらいもらえるのか、詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。最近では、「年金だけで本当に生活できるのか」「自分の年金は少なすぎないか」と不安に感じている方も増えています。
もらえる年金の額は、人によって大きく差があります。年齢や働いていた期間、収入の違い等によって、同じ年代の人でも受け取る金額がかなり変わってくるのが実際のところです。
この記事では、60歳から90歳以上まで、5歳刻みで国民年金と厚生年金の平均受給額を紹介しています。年齢が上がるにつれて年金額がどのように変わっていくのか、また、世代ごとにどのくらい違いがあるのかを知ることができます。
暑さが厳しい8月は、体調管理とともに家計の見直しにも気を配りたい時期。この機会に、ご自身の年金について改めて確認してみませんか。
1. 日本の公的年金制度は2階建て!
日本の公的年金制度は、しばしば「2階建て構造」と呼ばれますが、これは基礎(1階)部分にあたる「国民年金」と上乗せ(2階)部分にあたる「厚生年金」から成り立つためです。
国民年金と厚生年金の仕組みを確認し、それぞれの違いを整理しましょう。
1.1 1階部分【国民年金】
国民年金の加入対象者は、原則として日本国内に住む20歳以上から60歳未満のすべての人で、職業や国籍は問いません。
年金保険料(※1)は全員一律です(ただし年度ごとに改定あり)。保険料を40年間納めると、65歳以降に満額(※2)の老齢基礎年金を受給することができます。
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
1.2 2階部分【厚生年金】
厚生年金の加入対象者は、会社員や公務員、またパート・アルバイトの人で、国民年金に上乗せして加入します。
年金保険料(※3)は報酬(賞与・給与)に応じて変わります(上限あり)。国民年金に上乗せして受給しますが、厚生年金部分は加入期間や納めた保険料により、老後の受給額に個人差が出ます。
※3 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
2階部分にあたる厚生年金に加入している人は、1階部分にあたる国民年金にも同時に加入しています。
老後に受け取る年金額は加入している年金の種類に影響されるため、厚生年金にも加入している人の方が、国民年金だけに加入している人よりも受給額が多くなります。
なお、最近では3階部分として私的年金(「iDeCo(個人型確定拠出年金)」「個人年金保険」など)で備える人も増えています。