3. NISAは「損益通算」や「損失繰越」の対象外

課税口座の運用で生じた損益は、確定申告により損益通算や損失繰越が可能です。ただし、NISA口座を活用した投資で生じた損益は、損益通算・損失繰越の対象外となるためご留意ください。

損益通算とは、1年間で確定した損失と利益を相殺することを指し、課税所得を抑える効果が得られます。損益通算の結果、損失が利益を上回った場合、この損失は3年間繰越すことが可能です。これを損失繰越といいます。

例)A証券で50万円の利益・B証券で40万円の損失が生じた場合、損益通算により「50万円ー40万円=10万円」が課税対象額となります。しかし、A証券で50万円の利益・NISA口座で40万円の損失が生じた場合、損益通算ができないため課税対象額は50万円です。

このように、課税口座とNISA口座で損益通算・損失繰越ができれば、より税金を抑えられますが、NISAはそもそも「非課税」となるため、このいずれも対象外となります。

4. 【NISA】年末調整でやるべきことはある?

給与所得者の中には、年末調整でNISAについて申告すべきことがあるのか迷う人もいるかもしれません。

結論から申し上げると、NISAは年末調整とは関係がありません。

年末調整とは、給与所得者が源泉徴収された1年間の税額の過不足を調整する手続きです。掛金が全額所得控除となるiDeCoは年末調整の対象となりますが、NISAを含む投資で生じた損益は年末調整の対象外です。

5. まとめにかえて

本記事では、NISAの確定申告について解説してきました。

NISAは基本的に確定申告が不要ですが、年間投資枠の超過や旧NISAからの移行などで課税口座で運用される場合など、確定申告が必要となるケースがあります。

判断に迷う場合は、金融機関窓口や税務署等に相談してみると良いでしょう。

参考資料

和田 直子