厚生労働省は、「厚生年金に40年間加入した会社員の夫と専業主婦の妻」をモデル世帯として、夫婦2人で受け取れる年金額を提示しています。
2024年11月5日に同省が公表した「多様なライフコースに応じた年金の給付水準の示し方について」によると、このモデルケースでは夫婦2人で月額約22万8000円の年金を受け取れるとのこと。
では、現シニア世代の年金受給額は実際にどのくらいなのか。本記事では、70歳代の年金受給額とあわせて平均貯蓄額についても確認していきます。年金暮らしの実態を、お金事情から観察していきましょう。
1. 【70歳代・二人以上世帯】平均貯蓄額(平均値・中央値)はいくら?
老後の収入源として一般的に「公的年金」が挙げられますが、安心して暮らせる老後を実現するためには「貯蓄」も重要な支えとなります。
金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によれば、70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は1757万円でした。
また、平均値よりも、さらに実態を反映しているとされる中央値は700万円です。
1.1 【70歳代・二人以上世帯】の平均貯蓄額(平均と中央値)
- 平均:1757万円
- 中央値:700万円
1.2 【70歳代・二人以上世帯】貯蓄額ごとの世帯割合
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
金融資産を保有していない、いわゆる「貯蓄ゼロ世帯」は全体の約2割であり、これらの世帯は毎月の生活費を賄うために安定した収入が必要になるとうかがえます。
多くの人にとって老後の主な収入源となる「公的年金」ですが、その月額受給額はどの程度でしょうか。
次章では、現在の高齢者が受け取っている「厚生年金や国民年金」の受給額について詳しく見ていきます。