今年も残すところあと一か月です。
年末は年末調整やふるさと納税など年内にやり切らなくてはいけないことがありますが、今年の初めに決めていたことは始められたでしょうか。
筆者はファイナンシャルプランナーとして、お金の相談を受けていますが、年末になると年度の駆け込みや来年からの制度の活用の相談が増える時期でもあります。
資産運用のご相談をいただくきっかけには、「老後のためにいくら貯めるべきか」「今から何を始めたら良いか」「子供のための学費のため方はどうすればいいか」などのご不安が多くあります。
また、今年はNISA制度が新しくなった年でもあり、資産形成を今からでも始めた方がいいのではないかと、ご自身の将来について不安とともに行動を起こしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
では、実際に老後に必要な貯蓄額はいくらなのでしょう?
必要な金額は十人十色ですが、今後の財政状況により変動する可能性もあります。
そこで、まずは将来の収入の柱となる現行の年金制度を理解し、現状の資産と将来の計画を見直すことが第一歩です。
本記事では、現在の65歳以上の無職夫婦世帯の生活状況に焦点を当て、彼らがどのような生活を送っているのかを確認していきます。
ご自身の生活水準や収支と比較し、将来に向けた一歩を考えるための参考にしてみてください。
1. 【65歳以上・無職夫婦世帯】平均貯蓄額は?
65歳以上の無職夫婦世帯がどれくらい貯蓄をしているのか、これから年金生活を迎える現役世代にとっては気になるところです。
総務省が令和6年5月に公表した「家計調査報告」の資料をもとに確認してみましょう。
1.1 2018年から2023年までの平均貯蓄額の推移
- 2018年:2233万円
- 2019年:2218万円
- 2020年:2292万円
- 2021年:2342万円
- 2022年:2359万円
- 2023年:2504万円
65歳以上の無職夫婦世帯の平均貯蓄額は、2023年で2504万円です。これは前年から145万円増加しており、6.1%の増加率となっています。
このデータから2019年以降、平均貯蓄額が年々増加していることがわかりますね。
続いて、65歳以上世帯が保有している資産の内訳や推移を見ていきましょう。
1.2 保有資産の内訳
- 有価証券:480万円
- 生命保険など:413万円
- 定期性預貯金*:846万円
- 通貨性預貯金**:754万円
- 金融機関外:11万円
特に保有額が大きいのは定期性預貯金(846万円)と通貨性預貯金(754万円)です。
定期性預貯金は年々減少していますが、通貨性預貯金は増加傾向にあります。
定期性預貯金の保有額は2018年と比較して125万円減少していますが、通貨性預貯金は249万円増加しています。日本人がリスクの小さい資産を好む傾向を示していると言えるでしょう。
また、有価証券の残高は、前年とくらべて80万円増加しています。
理由としては、NISAやiDeCoなどの非課税制度の影響や低金利の影響で、投資商品へ資金の移動が進んでいることなどが考えられそうです。
*ゆうちょ銀行の定額貯金や定期貯金,銀行や信用金庫などの金融機関の各種定期預金,定期積金などをさす
**ゆうちょ銀行の通常貯金,銀行や信用金庫などの金融機関の普通預金,当座預金,通知預金,納税準備預金などをさす