日本では少子高齢化が進み、人口が減り続けています。
そのため、現役世代のなかには「いま一生懸命働いても、老後に年金をもらえないのではないか」「人口の多いシニア世帯は、数少ない現役世代が納める年金で優雅に暮らしていてズルい」など不満を持つ人もいるかもしれません。
ただし、現在のシニア世帯もゆとりのある生活を送れているわけではありません。
本記事では、シニア世帯の年金受給額や生活費・貯蓄額を紹介します。年金生活者のリアルなお金事情が知りたい人は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
1. 年金生活者はどれくらい年金をもらっているのか
ではさっそく、現在のシニア世帯がどれくらい年金を受け取っているのか確認しましょう。
厚生労働省年金局「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者の年金受給額(国民年金+厚生年金)は以下のとおりです。
1.1 厚生年金受給者の年金受給額分布(国民年金+厚生年金)
年金受給額 割合
- 月額1万円未満 0.38%
- 月額1万円以上2万円未満 0.10%
- 月額2万円以上3万円未満 0.34%
- 月額3万円以上4万円未満 0.59%
- 月額4万円以上5万円未満 0.64%
- 月額5万円以上6万円未満 0.96%
- 月額6万円以上7万円未満 2.57%
- 月額7万円以上8万円未満 4.30%
- 月額8万円以上9万円未満 5.80%
- 月額9万円以上10万円未満 7.03%
- 月額10万円以上11万円未満 7.05%
- 月額11万円以上12万円未満 6.47%
- 月額12万円以上13万円未満 5.91%
- 月額13万円以上14万円未満 5.79%
- 月額14万円以上15万円未満 5.96%
- 月額15万円以上16万円未満 6.21%
- 月額16万円以上17万円未満 6.51%
- 月額17万円以上18万円未満 6.62%
- 月額18万円以上19万円未満 6.32%
- 月額19万円以上20万円未満 5.69%
- 月額20万円以上21万円未満 4.75%
- 月額21万円以上22万円未満 3.56%
- 月額22万円以上23万円未満 2.40%
- 月額23万円以上24万円未満 1.58%
- 月額24万円以上25万円未満 1.04%
- 月額25万円以上26万円未満 0.64%
- 月額26万円以上27万円未満 0.37%
- 月額27万円以上28万円未満 0.21%
- 月額28万円以上29万円未満 0.10%
- 月額29万円以上30万円未満 0.05%
- 月額30万円以上 0.08%
- 平均年金月額 14万3973円
*厚生年金保険受給権者には、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより、定額部分のない報酬比例部分のみの 65 歳未満の受給権者が含まれている
人により受給額に差はありますが、平均で月14万3973円の年金を受け取っています。
1人あたり月14万円の年金をもらえれば、十分暮らせると思う人もいるかもしれません。ただし、上記は会社員や公務員としての勤務経験がある厚生年金受給者がもらえる金額です。
会社員や公務員として働いたことのない専業主婦や自営業者は厚生年金を受け取れず、もらえる年金は国民年金のみとなります。2024年度の国民年金の満額は、月6万8000円と少額です。
そのため、月14万円の年金をもらえる人は、老齢年金受給者全体の半分にも満たない、ということになります。
2. 年金生活者はどれくらい生活費がかかるのか
次に、年金生活者が毎月どれくらいお金を使っているのか確認しましょう。
総務省統計局「家計調査報告書(家計収支編)」によると、65歳以上夫婦のみの無職世帯における1カ月の平均支出額は以下のとおりです。
2.1 65歳以上の夫婦のみ無職世帯の支出(月額)
- 食料 7万2930円
- 住居 1万6827円
- 光熱・水道 2万2422円
- 家具・家事用品 1万477円
- 被服及び履物 5159円
- 保険医療 1万6879円
- 交通・通信 3万729円
- 教育 5円
- 教養娯楽 2万4690円
- その他の消費支出 5万839円
- 諸雑費 1万9835円
- 交際費 2万4230円
- 仕送り金 969円
- 直接税 1万3090円
- 社会保険料 1万8435円
- 合計 28万2497円
税金や社会保険料を含めると、月28万2497円の支出です。内訳としては、食費が7万2930円ともっとも高くなっています。
たとえば、夫の年金受給額が月14万円・妻の年金受給額が月6万円の世帯の場合、毎月約8万円が不足する計算です。
もちろん世帯によってお金事情はさまざまですが、年金だけでの生活が難しい世帯も多くいることがわかります。
3. 年金生活者はどれくらい貯蓄があるのか
年金だけでの生活が難しい場合、不足する金額を貯蓄で補う必要があります。
では、年金生活者はどれくらい貯蓄があるのでしょうか。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、60歳代・二人以上世帯の貯蓄額の分布は以下のとおりです。
3.1 60歳代二人以上世帯の金融資産保有額
- 非保有 :21.0%
- 100万円未満 :5.9%
- 100~200万円未満 :4.5%
- 200~300万円未満 :4.3%
- 300~400万円未満 :3.0%
- 400~500万円未満 :1.9%
- 500~700万円未満 :7.2%
- 700~1000万円未満 :6.7%
- 1000~1500万円未満 :6.8%
- 1500~2000万円未満 :5.4%
- 2000~3000万円未満 :9.5%
- 3000万円以上 :20.5%
- 無回答 :3.2%
- 平均値 :2026万円
- 中央値 :700万円
中央値は700万円となっています。仮に毎月8万円・年間96万円のお金が不足する場合、約7年間で貯蓄が尽きてしまいます。
そのため、貯蓄でやり繰りするには、平均よりも生活費を抑えるために節約が必要です。
また、貯蓄がゼロの世帯も21%いるため、これらの世帯は経済的にかなり厳しい老後生活を送ることになるでしょう。
4. できるだけ早く老後に備えよう
年金生活者のなかには、経済的にゆとりがない老後生活を送る世帯も多くいることを確認しました。
そのようにならないためには、若いうちからの対策が必要です。
今はiDeCoやNISAといった、老後のための資産形成を効率的にできる制度も整っています。
ぜひこれらの制度を利用して、今から老後対策を始めてみてはいかがでしょうか。


