老後のライフプランを考える際に、物価高を十分に考慮に入れる時代になっています。
これまでのデフレの経済環境下では、預貯金を持っていれば、時間の経過とともに物価が下がる環境であったため、資産運用の必要は大きくありませんでした。年金収入の範囲で生活をつつましくしていれば、預貯金を使ってやり過ごせたからです。
しかし、今やインフレの時代です。物価高といってもすぐには上がらない年金収入。貯蓄を切り崩しながら生活をしなければならないという時代に入っています。
今後、高齢者向けに、政府からの給付金や物価高補助金といった経済政策がどうなるかは現時点で不明確なものが多いです。
そこで今回は、65歳以上の無職夫婦世帯の生活状況に焦点を当て、データか見えてくる世帯がどのような生活を送っているのかを確認していきます。
ご自身の生活水準や収支と比較し、将来に向けた一歩を考えるための参考にしていただけると幸いです。
1. 【65歳以上・無職夫婦世帯】1ヵ月の収入・支出はいくらか…収入24万円、支出28万円!
はじめに、65歳以上で無職夫婦世帯の収入と支出について見て行きましょう。
ここでは、総務省が公表している「家計調査報告 家計収支編 2023年」を参考に、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計、収支と支出を見てみましょう。
当該世帯のおもな収入源は公的年金であり、不足分は貯蓄を取り崩すことになります。これらを日々やりくりして生活することになります。
支出は現役世代と比べると消費するアイテムや金額は減少するものはありますが、生活するうえで最低限必要となる食費や光熱費などもあります。
1.1 【65歳以上・無職夫婦世帯】毎月の収入と支出、そして収支
- 収入合計:24万4580円(うち社会保障給付:21万8441円)
- 支出合計:28万2497円(うち消費支出:25万959円)
- 毎月の収支:▲3万7916円
毎月の収入に対し支出が上回っているため、家計は赤字ということになります。約4万円の不足分は何らかの方法で補填する必要があります。一般的には、貯蓄を切り崩したりして対応することになるでしょう。
また、支出の内訳についてはこちらをご参考ください。
1.2 物価高が直撃…65歳以上・無職夫婦世帯の毎月の支出の内訳
ここでは、毎月の支出をさらに分解してみていきましょう。
物価上昇が続く中、もっとも頭が痛いのが食料費(食費)ではないでしょうか。
食費は支出の中で約3割を占め、もっと大きな割合を占めています。
また、最近の電気料金の値上げも光熱・水道に関連する費用が増加する背景となっています。
食費も光熱費も生活するうえでは大きく削るのが難しいことから、物価高、エネルギー高は金融政策や経済政策で何とかしてほしいものです。
- 食料:7万2930円
- 住居:1万6827円
- 光熱・水道:2万2422円
- 家具・家具用品:1万477円
- 被服及び履物:5159円
- 保健医療:1万6879円
- 交通・通信:3万729円
- その他:5万839円
- 非消費支出:3万1538円