4. 高年齢求職者給付金の給付額
高年齢求職者給付金の給付額は、被保険者であった期間に応じて下記の次表に掲げる日数分の「基本手当日額」に相当する額となっています。
- 被保険者期間1年未満:基本手当日額の「30日分」が支給
- 被保険者期間1年以上:基本手当日額の「50日分」が支給
たとえば、1年以上雇用保険に加入していた場合は、50日分の基本手当が受け取れます。
基本手当日額とは、原則として離職する「直前6か月間に支払われた賃金」をもとに計算した1日当たりの賃金額の45%〜80%の額です。
「基本手当日額の計算方法」と「基本手当日額の給付率」は下記のとおりです。
基本手当日額=賃金日額×給付率(45%〜80%)
【高年齢求職者給付金を受給する場合の基本手当日額の給付率】
- 2574円以上5110円未満:80%
- 5110円以上1万2580円以下:50〜80%
- 1万2580円超1万3890円以下:50%
上記をふまえ、高年齢求職者給付金の給付額を算出してみましょう。
4.1 高年齢求職者給付金の給付額をシミュレーション
今回は下記のモデルケースを例に、高年齢求職者給付金の給付額を算出していきます。
- 離職以前6ヶ月(180日)の合計賃金:120万円
- 被保険者期間:1年以上
このモデルケースの場合の、賃金日額は「120万円÷180」で、6667円と計算されます。
前述した給付率の一覧をみると「5110円以上1万2580円以下」に該当するため、給付率は「50〜80%」となります。
以上から、基本手当日額は「6667円」に給付率50〜80%をかけて、「3334円(50%のケース)〜5334円(80%のケース)」であることが分かりました。
被保険者期間が1年以上の場合、給付額は「基本手当日額の50日分」となるため、給付額は「3334円〜5334円×50日分」で「16万6700円〜26万6700円」が支給額となります。
なお、基本手当とは異なり給付金が一括で受け取れるのが特徴です。
- 基本手当(65歳未満):4週間に1度(約28日ごと)の間隔で失業認定がされた場合に支給
- 高年齢求職者給付金(65歳以上):要件を満たしていた場合は一括で支給
つまり、本章で紹介したモデルケースの場合、要件を満たしていれば「16万6700円〜26万6700円」が一括で受け取れることになります。
一括で給付金を受け取れることから、次の就職先が見つかるまでの生活費の補填として活用しやすいため、働くシニアにとっては大きな支えとなるでしょう。
5. 高年齢求職者給付金の注意点も知っておこう
高年齢求職者給付金は、離職後に再就職の意思があるシニアに対して支給される給付金で、要件を満たせば何度でも受け取れるありがたい制度です。
しかし、申請後すぐに給付金を受け取れるわけではありません。
給付金を受給するまでには「7日間の待機期間」があり、自己都合で退職した場合はさらに2〜3ヶ月かかることもあります。
そのため、生活費を給付金のみに頼ることは避けたほうが良いでしょう。
また、申請が遅れると支給額が減る可能性があるため、要件を満たしている場合は早めに申請を行うことが大切です。
参考資料
- 総務省「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」
- 厚生労働省「離職されたみなさまへ <高年齢求職者給付金のご案内>」
- ハローワーク(公共職業安定所)・長野労働局「雇用保険の高年齢求職者給付金を受けようとする方へ...」
- 厚生労働省「雇用保険受給者のみなさまへ」
- 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和5年8月1日から~」
和田 直子