6. 今後も「自助努力」が必要な時代に
今回は老後のお金事情について、年金の仕組みや天引きされるお金について考察を行いました。
厚生年金では平均受給月額14万円台、国民年金については5万円台となっており現役時代と比べると少ないと感じる方が多いのではないでしょうか。
さらに、平均受給月額には社会保険料など天引きされるお金が考慮されていないため、実際の手取り額は減少します。
特に国民年金の場合であれば月収だけで暮らすことは非常に厳しいでしょう。
国民年金だけではなく、厚生年金も十分では無いとなれば自分で準備を行うしかありません。いわゆる「自助努力」の必要性が益々高まっています。
政府はiDeCoやNISAといった税制優遇のある施策を用意し、老後資金の形成を支援しています。2024年から刷新されたNISAにも大きな注目が集まっており、資産運用の手段として関心が高まっています。
もちろん、iDeCoやNISAなどの資産運用にはリスクがありますが、その分大きなリターンも期待できます。ただし、リターンを追求するほどリスクも高くなるため、慎重に判断することが重要です。まずはこれらの仕組みをよく理解し、自分に合った運用方法を選ぶことが大切です。
資産運用以外にも老後に備える方法はいくつかあります。長く続けられる手段を吟味し、時間をかけて少しずつ準備を進めることが成功のカギです。老後に困らないよう、今からしっかりと対策を講じていきましょう。
7. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。
7.1 年金の主な種類と仕組みは?
日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。
国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。
7.2 「繰下げ受給」とはどんな制度?
年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。
例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。
7.3 年金を増やす方法はあるのか?
年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。
また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。
さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。
参考資料
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から2.7%の引上げです~ 」
- 日本年金機構「Q.年金から所得税および復興特別所得税が源泉徴収される対象となる人は、どのような人でしょうか。」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」
- 総務省「統計からみた我が国の高齢者 -「敬老の日」にちなんで- 」
徳原 龍裕