現役時代に会社員や公務員で厚生年金に加入していた方は、老後に老齢厚生年金を受給します。年金は老後の生活を支える大切なものなので、いくらもらえるのか気になる方も多いでしょう。

老後の生活費は厚生年金だけでカバーできるのでしょうか。できないとすると、今のうちからどのような準備をしておけば良いのでしょうか。

本記事では、標準的な厚生年金受給額はいくらなのか、また、老後の生活費にはいくらかかるのかを解説していきます。今からできる老後資金形成方法もご紹介しますので、併せてご確認ください。

1. 標準的な厚生年金受給額は約23万円

日本年金機構によると、令和6年度における厚生年金の標準的な受給額は、夫婦合わせて23万483円とされています。これは、平均的な収入で40年間働いた場合に受け取れる厚生年金と、2人分の国民年金の合計額です。夫が会社員で妻が専業主婦といったケースが該当します。

平均年収が高い場合や厚生年金の加入期間がさらに長い場合などは、これより高額な受給額になると考えられます。また、このモデルケースでは配偶者が専業主婦(夫)ですが、共働きであれば、その分高額な年金を受給可能です。

2. 老後の生活費に必要な金額

厚生年金の標準的な受給額は約23万円とされていますが、年金収入だけで毎月の生活費をカバーすることは可能なのでしょうか。

2.1 生活費に最低必要な金額は約25万円

【写真全2枚】1枚目/65歳以上夫婦のみ無職世帯の家計収支、2枚目/ゆとりある老後生活費はいくらと考える?1/2

65歳以上夫婦のみ無職世帯の家計収支

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支 2023年(令和5年)平均結果の概要」

総務省統計局が公表した「家計調査報告 家計収支 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみ世帯の1ヵ月の支出額は、25万959円とされています。

厚生年金やその他の収入を合わせた1ヵ月の収入は244,580円ですが、社会保険料や税金が控除されて手取り額は21万3042円になります。そこから支出額の25万959円を差し引くと、毎月3万7917円の赤字になっているのが現状です。

毎月約3万8000円の赤字だと1年間では45万6000円に、20年間では912万円が不足する可能性があります。

2.2 ゆとりある生活のためには約38万円が必要

毎月の生活に最低限必要な金額は約25万円という結果ですが、老後は自由な時間が増えるため、ゆとりある生活を送りたいと考える方も多いでしょう。

生命保険文化センターが行った調査によると、ゆとりある老後生活を送るには平均37万9000円が必要と考えているという結果が出ています。

ゆとりある老後生活費はいくらと考える?2/2

ゆとりある老後生活費はいくらと考える?

出所:生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」

厚生年金の受給額が約23万円とすると15万円不足することになり、年金以外の方法で収入を得るか、現役時代のうちから貯蓄をしておく必要があるでしょう。

なお、ゆとりを持たせた分の金額の使い道は、旅行やレジャー、日常生活費の充実、趣味や教養、身内とのつきあいなどが多くなっています。

3. 老後資金を準備する方法やポイント

厚生年金だけでは老後の生活費をゆとりあるものにすることは難しいため、現役のうちから老後資金を準備することを心がけましょう。

今から取り組める方法をご紹介しますので、ご家庭の状況に合わせて無理なく始められるものを選びましょう。

3.1 1.家計状況を把握し無駄遣いをなくす

毎月の収入に対して、どのくらいの支出があるのかを把握します。収支がマイナスになっているのであれば、食費や趣味、交際費などで節約できるところはないか検討しましょう。

家計の見直しをする際には、固定費を重点的に検討すると効果的とされています。一度見直しをすれば、その後も継続して節約し続けられるためです。

固定費とは、その名の通り毎月一定金額がかかる費用で、水道光熱費や家賃、生命保険料などが該当します。たとえば、電気代とガス代を別々に支払っている場合、セット割プランを利用したり、携帯電話を使用料の安いところに切り替えたりすると節約ができます。

最近は、多種多様な家計簿アプリが提供されているので、使いやすいものを選んで、不要な支出はないかを確認しましょう。

3.2 2.先取り貯蓄をする

先取り貯蓄とは、給与が支払われたらすぐに、一定金額を貯蓄に回す方法です。口座から自動引落にしておけば指定した日に引かれるため、最初からなかったものとして、いつのまにかまとまったお金が貯められます。

貯蓄が苦手な方の中には、「余った金額を貯蓄する」という方法をとっている方がいますが、残高があるとあるだけ使ってしまうものです。先に貯蓄に回して、残りの金額でその月のやりくりをしていけば、確実に貯蓄できます。

3.3 3.NISAやiDeCoを利用する

より積極的に老後資金を準備したい方は、NISAやiDeCoを活用する方法があります。

NISAは2024年1月から新制度がスタート。従来の制度から非課税保有限度額や年間投資枠が拡大され、利用者にさらにメリットのある内容となっています。成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能になったため、毎月一定金額を積み立てつつ、まとまった資金がある場合は成長投資枠で一括購入することも可能です。

iDeCoは、掛け金の拠出や運用を自分で行うことで、老後資金を形成できる制度です。掛け金の拠出は一定の要件を満たせば65歳まで可能なため、たとえば50歳から始めても15年間拠出できます。iDeCoでは、掛け金の拠出時・運用時・受取時に税金の優遇措置が設けられています。

4. まとめにかえて

標準的な65歳以上二人世帯の年金額は約23万円とされているのに対し、毎月の生活費は約25万円が必要です。さらに、ゆとりある老後生活を送るには、約38万円が必要と考えられているため、年金だけでは実現しないことが考えられます。

65歳以上も働いて収入を得る方法がありますが、健康状態や家庭状況によっては難しいこともあるでしょう。現役のうちから長期的に、老後資金の準備をすることが望ましいです。

参考資料