3. 年金生活者支援給付金「70歳未満~90歳以上」の平均給付月額
2019年に始まった「年金生活者支援給付金」の給付対象は、公的年金収入を含めてもなお一定基準以下の所得となる人です。
ここでは「老齢年金(国民年金)」の平均給付月額を紹介します。
3.1 老齢年金生活者支援給付金の平均給付月額
- 全体:3930円
- 70歳未満:4528円
- 70~74歳:4057円
- 75~79歳:3815円
- 80~84歳:3778円
- 85~89歳:3816円
- 90歳以上:3902円
老齢年金生活者支援給付金の支給対象は、以下の要件をすべて満たす人です。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である。
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が1956年4月2日以後に生まれた人は88万9300円以下、1956年4月1日以前に生まれた人は88万7700円以下(※2)
(※1)障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
(※2)1956年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である人、1956年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である人には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
住民税非課税世帯などを対象とした各種給付金の多くが「1回限り」であるのに対し、「年金生活者支援給付金」は、支給要件を満たす場合、恒久的に受け取ることができる支援です。
止まらぬ物価上昇が多くの世帯の家計を圧迫するこんにち。こうした支援の対象となる場合は、忘れずに申請を行い、受給しておきたいものです。
ただし、その額は決して大きなものではありません。中には「焼け石に水」という世帯もあるでしょう。
一人ひとりが「老後を見据えたお金の準備」を意識することが大切ですね。もちろん年金のしくみや各種公的支援制度にも高くアンテナを張っておけたらよいですね。
4. セカンドライフを見据えた資産準備を
今回は、シニア世代が受け取っている年金額を年齢別に見てきました。
会社員や公務員が受け取る厚生年金(国民年金を含む)は、多くの人が月14万〜15万円台の収入があるようです。額面を見て「節約すれば何とかなるかも」と感じるかもしれませんが、この金額には国民年金の分も含まれています。
国民年金の受給額は、65歳以降であればほとんどの方が月6万円弱を受け取っていますが、「資産が多い高齢者に対しては国民年金を停止、または減額する」という政策が導入されれば、状況は大きく変わります。今は厚生年金と国民年金を合わせて14〜15万円の収入がある人でも、もし国民年金が減額されると、毎月の受給額が10万円を下回るケースも出てくるでしょう。
その場合、たとえ資産に余裕があっても、日々の支出で資産の減りは早く進んでしまいます。将来、年金制度がどうなるかは正確にはわかりませんが、制度が大きく変わったとしても安心して老後を迎えられるよう、早めに備えておくことが大切ではないでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 全国国民年金基金「国民年金基金とは」
- 日本年金機構「付加保険料の納付」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 公益社団法人関西経済連合会「「社会保障を中心とする税財政に関する提言」を公表」
鶴田 綾