2.2 おひとりさま世帯の平均貯蓄額は1391万円、平均値は80万円

では次に、おひとりさま世帯の貯蓄状況について見ていきましょう。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」によると、50歳代おひとりさま世帯の平均貯蓄額は1391万円、平均値は80万円です。

二人以上世帯と比べると、平均貯蓄額は約240万円多いですが、平均値は220万円少ないです。中央値の方が実際の平均に近いとされているため、貯蓄が進んでいない世帯が多いことが考えられます。

【円グラフ】50歳代・単身世帯の貯蓄額

【円グラフ】50歳代・単身世帯の貯蓄額

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」をもとにLIMO編集部作成

では、金融資産保有額ごとの割合も見てみましょう。

  • 金融資産非保有:38.3%
  • 100万円未満:11.2%
  • 100万円以上200万円未満:5.2%
  • 200万円以上300万円未満:2.7%
  • 300万円以上400万円未満:3.6%
  • 400万円以上500万円未満:3.8%
  • 500万円以上700万円未満:4.6%
  • 700万円以上1000万円未満:5.5%
  • 1000万円以上1500万円未満:4.9%
  • 1500万円以上2000万円未満:4.1%
  • 2000万円以上3000万円未満:4.4%
  • 3000万円以上:9.3%

金融資産非保有の世帯が38.3%を占めており、100万円未満の11.2%と合わせると約半数のおひとりさまが該当することになります。

一方で、3000万円以上の金融資産を保有している方が9.3%いることから、貯蓄のある方とない方の差が大きいことがわかります。

なお、おひとりさま世帯でも、保有している資産は預貯金が最も多く、株式や投資信託を運用している方も多いです。

3. まとめにかえて

50歳代はすべての年齢において年収が最も高くなる世代です。定年退職も間近になってくることから、老後資金の準備も本格的に始める時期でもあります。

しかし、貯蓄額の状況を見ると、貯蓄の進んでいる世帯もある一方で、貯蓄なしの世帯も少なくはなく、老後の生活費が不足した場合の補填がきかなくなる不安があります。

公的年金の受給開始年齢は、原則65歳からです。まだ10年程あり、今からでも遅くはないため、できるだけの準備をしておきましょう。

参考資料

木内 菜穂子