退職金の運用先として、銀行から勧められた投資信託と定期預金のセットプランに迷っていませんか?

魅力的な金利に惹かれる一方で、「本当にこの選択で良いのか?」と決めかねている方も多いでしょう。

この記事では、投資信託と定期預金のセットプランの特徴、メリット・デメリットについて分かりやすく解説します。高金利を謳ったこのようなセット商品は人気ですが、その裏には注意すべき点もあります。納得して決断できるための材料を提供しますので、安心して退職金を運用するための参考にしてください。

1. 投資信託と定期預金のセット商品の概要

投資信託と円定期預金を組み合わせたセットプランは、投資信託の購入をすることで円定期預金に通常よりも高い金利を得られる商品。金利は金融機関やプランの条件により異なりますが、特定の条件を満たせば年率10%といった高金利に達する場合があります。

このような高金利の投資信託セット定期では、預け入れ額や期間に一定の条件が課せられており、例えば、総額100万円以上の投資が必要で、そのうち円定期の比率は50%以下であるといった条件があるケースがほとんどです。

また、年率10%などの高金利が適用されるのは、1カ月間だけ、3カ月間だけといった短期間に限られている点に留意しましょう。

【写真全2枚】1枚目/投信・定期預金セット商品の概要、2枚目/金利の推移

投信・定期預金セット商品の概要

筆者作成

例えば、上図のように1000万円の資金を投信と定期預金のセット商品に預け、投資信託購入に500万円、円定期預金(年率7%)に500万円を割り当てた場合、3カ月間の定期預金から得られる利息は税引前で8万7500円となります。

しかし、投資信託には購入時に販売手数料がかかることが一般的で、仮にその手数料が3%だとすると、15万円の費用が発生します。

したがって、利息だけを考えると定期預金で得た利息よりも手数料の方が高くなり、結果的に差額が損失となるのです。

もともと投資信託の運用を目的としてこれらの購入を検討していた場合、販売手数料は定期預金の金利分が割り引かれた形で負担を軽減できると考えることもできます。

しかし、定期預金の高金利に魅力を感じてこのセット商品に飛びつく場合は、手数料とのバランスを考慮し、慎重な判断が求められると言えるでしょう。