「人生100年時代」ともいわれる現代、少子高齢化が進む中で、老後に対する漠然とした不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

ファイナンシャルアドバイザーの筆者としても、「老後に何を準備すればいいのかわからない」「年金だけで生活していけるのか」といった声をよく耳にします。国の制度は徐々に整備されていますが、社会構造の変化により、必ずしも安心な老後が約束されるわけではありません。

老後の生活費で最も懸念されるのは、収入と支出のバランスが崩れることです。特に医療費や介護費など、予測が難しい支出が重なると、生活に大きな影響を及ぼしかねません。そんな中、年金は重要な収入源ですが、意外と見落とされがちな注意点もあります。

そこで今回は、老後の「年金」に関して、現役世代の皆さんが知っておくべき落とし穴について取り上げてみたいと思います。将来の年金生活をイメージする上での参考になれば幸いです。

1. 老齢年金から<天引き>されるのはどんなお金?

現役世代が毎月の給与から天引きされるお金があります。

同じように、シニア世代が受け取る老齢年金からも、税や社会保険料など天引きされるお金があります。

市役所などからもらう公的な書類では「特別徴収」と書かれていますが、「天引き」と表現したほうがイメージが付きやすいかもしれません。

今回は、老齢年金から天引きされる4つのお金を、ひとつひとつ整理していきます。

1.1 【1】個人住民税および森林環境税

一定の条件を満たす場合、前年中の所得にかかる住民税と森林環境税は年金からの特別徴収となります。
※非課税となる場合、支払い義務は発生しません。

1.2  【2】所得税および復興特別所得税

「雑所得」扱いとなる老齢年金からは、所得税および復興特別所得税も天引きされます。

1.3 【3】介護保険料

64歳までは健康保険料と一緒に納付していた介護保険料は、65歳以降は単独で支払うことになります。

年金支給額が年額で18万円以上の場合、介護保険料は年金から天引きされます。

さらに、要介護・要支援認定を受けたあとも、介護保険料の支払いは生涯続くことに注意が必要です。

1.4 【4】健康保険料

国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料も、基本的には年金からの天引きされます。

現役時代の給与明細と同様に、年金通知書には控除される税金や社会保険料が記載されます。

そのため、「額面」と「実際の振込額」に差が生じることが一般的です。