1.1 毎月約3万8000円の赤字

65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、実収入が24万4580円ですが、そこから社会保険料や税金が3万1538円差し引かれ、可処分所得(手取り額)は21万3042円となります。

食費や住居費などの消費支出は25万959円かかり、可処分所得から引くと3万7917円の赤字になります。

1ヵ月約3万8000円の赤字がでると1年間では45万6000円になり、10年間では456万円、20年間では912万円が不足する計算です。

年金だけでは生活費をまかなうことが難しい世帯が多く、少なくとも1000万円の貯蓄が必要になると考えられます。

1.2 最も多いのは食費で月約7万円

では、1ヵ月にかかる費目を詳しく見ていきましょう。

【写真全2枚】1枚目/65歳以上無職夫婦世帯の生活費(内訳)、2枚目/老後の「国民年金・厚生年金」平均受給額

65歳以上無職夫婦世帯の生活費(内訳)

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支 2023年(令和5年)平均結果の概要」

生活費の中で最も大きな割合を占めるのが食費で、約7万3000円です。一般的に、食費は手取り額の15%〜20%が目安とされているため、4万3000円程に抑えられるのが理想といえます。

しかし、実際には約3万円オーバーしているため、工夫次第で食費を減らせる可能性があります。

2番目に多いのが交通・通信費で約3万円、3番目が交際費で約2万4000円です。

夫婦それぞれが携帯電話を所有していると2台分の料金が発生するため、格安SIMに乗り換えたり契約中のプランを見直したりすることで節約できる可能性があります。

交際費は親戚関係や友人などとの関係もあるため、節約は難しい費目といえるでしょう。

なお、この調査結果では住居費が1万6827円となっていますが、賃貸物件を借りている場合はさらに高額になると考えられます。住居状況によっては、1ヵ月の支出がより高額になるケースもある点に留意しましょう。