厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、公的年金・恩給のみで生活できない高齢者世帯は58.3%と半数以上を占めることが分かりました。

近年続く物価高により、この割合はさらに増えるかもしれません。

さて、2019年10月より「年金生活者支援給付金制度」が始まりました。これは、年金を含む所得が少ない年金受給者の生活をサポートするもので、一定の要件を満たす対象者が申請をして受給できるものです。

本記事では、年金受給者支援給付金制度について、概要や対象者、支給額について解説していきます。

また、現シニア世代の生活実態についても触れますので、将来の年金生活のイメージを膨らませるきっかけになればと思います。

1. 「年金生活者支援給付金」とは?財源・種類など概要をチェック

「年金生活者支援給付金」は2019年10月に始まった制度です。年金だけでは生活するのが厳しいという方へ向けて、一定の要件を満たす場合に、年金に上乗せして給付金が支給されます。

1.1 年金生活者支援給付金の財源は?

年金生活者支援給付金の制度が始まった2019年10月は、消費税が8%から10%に上がった時期でもあります。この増税分を財源として、制度が開始したという訳です。

実際に、年金生活者支援給付金が初めて支給されたのは、増税後の2019年12月となりました。

1.2 年金生活者支援給付金には3つの種類がある

年金生活者支援給付金は、それぞれの対象者ごとに以下の3種類に分けられています。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

どの種類の給付金も、原則的には年6回に分けて2ヵ月ごとに振り込まれます。支給日は、公的年金と同じ日付です。

この制度ができたときには、老齢年金生活者支援給付金の対象者は約610万人になると試算されていました。

さらに、補足的に支援を受ける方が約160万人、障害年金や遺族年金の給付金を受け取る人は合わせて約200万人にものぼるため、かなり多くの方が対象になることが分かります。