2. 年金が全額カットも…。在職老齢年金について

在職老齢年金とは、年金受給者が、厚生年金に加入しながら働く場合、収入の合計によっては、年金の一部または全額が支給停止になる制度です。

支給停止のボーダーラインとなる基準額を「支給停止調整額」といい、年金収入と就労で得た収入の合計額が基準額を超えてしまった場合は、年金額がカットされてしまいます。

2024年度の在職老齢年金の支給停止調整額は「50万円」となっています。

2024年度の在職老齢年金「支給停止調整額」

2024年度の在職老齢年金「支給停止調整額」

出所:厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」

たとえば、基本月額(年金収入)が15万円で総報酬月額相当額(就労で得た収入)が30万円の場合、合計額が50万円以下のため、年金は全額支給となります。

しかし、基本月額が15万円で総報酬月額相当額が36万円の場合、合計額が50万円を超えるため、年金額が一部減額されることになるのです。

在職老齢年金により年金額がどのくらいカットされてしまうかは、下記のフローチャートを参考に計算してみると良いでしょう。

在職老齢年金による支給停止フローチャート

在職老齢年金による支給停止フローチャート

出所:日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」

在職定時改定により年金額が増額されても、厚生年金加入中は在職老齢年金制度により年金がカットされる可能性があります。

そのため、就労によって得られる収入額を検討する際は、在職老齢年金制度も考慮に入れて考えるようにしましょう。