10月15日は年金支給日で、年金を受給しているシニアにとっては待ち遠しい日でもあったでしょう。
現役世代の多くは毎月給与を受け取るのに対して、年金シニア世代は偶数月に1回しか支給されません。そのため、年金だけで生活する方々は、2か月分の支給をやりくりしながら、貯蓄と併用して生活費を計画する必要があります。
しかし、最近の物価上昇により支出が増えているにも関わらず、年金額はそれに応じて増えているわけではありません。これに対応するため、政府は物価上昇を受けた経済支援策として、さまざまな給付金を提供しています。
本記事では、10月15日の年金振込分に関わる重要なポイントである「住民税の定額減税」について解説します。
さらに、年金の手取り額に影響を与える他の要素についても確認し、ご自身がどのような支援を受けられるのかを含めて詳しく見ていきましょう。
1. 「定額減税」とは?公的年金の手取り額は変わる?
定額減税は、賃金の上昇が物価高に追いついていない方の負担を緩和するために「一時的な措置」として、〈令和6年度の税制改正〉により行われるものです。
2024年6月から、2024年分の所得税について定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されています。
1.1 「所得税・個人住民税」はいくらくらい減税される?
2024年分の所得税・2024年度分の個人住民税において、納税者の合計所得金額が1805万円以下の場合、「納税者」と「納税者の配偶者を含めた扶養親族1人」につき、以下のとおり控除されます。
- 所得税:3万円
- 個人住民税:1万円
公的年金は、偶数月(4月・6月・8月・10月・12月・2月)の15日(※1)に、所得税や住民税などが天引きされて支給されます。
2024年は「一時的な措置」としての定額減税により、所得税や住民税が最大で4万円(※2)減税されるのです。
なお、所得税においては、2024年6月支払分から減税が開始されました。
※1:公的年金の支給日となる偶数月の15日が「土日祝日」の場合、その直前の平日に支給されます。
※2:個人差があります。
公的年金の減税イメージ|定額減税
1回あたりの公的年金において、所得税を3万円支払うシニア世代は決して多くはないでしょう。そのため、減税しきれない分については、8月・10月…と減税が続きます。
また、別途調整給付金が支給されるのは、「上限分が減税しきれない」と見込まれる方です。
住民税の定額減税
2024年10月支給の公的年金より、住民税の定額減税が開始されます。
1度に減税できない場合、2024年12月支給以降の公的年金からも減税されます。
賃金の上昇が物価高に追いついていない方の負担を緩和するために「一時的な措置」として定額減税が行われることで、「いつもより年金の手取り額が高い」と感じる人もいるでしょう。
また、その他の要因で、年金の手取り額が変わるケースもあります。次章では、2024年10月支給の公的年金において「手取り額が変わる理由」を確認していきます。