5. 30万円を受け取るための年収シミュレーション

先ほど説明した厚生年金の計算方法により、43年の加入期間で月額23万2000円(年額278万4000円)を受け取ろうと考えた場合に必要な平均標準報酬月額は、下記の計算式を逆算することにより算出することができます。

  • 〇〇万円×(5.481/1000)×(43年間×12ヶ月)=278万4000円

算出結果は98万4373.07740…となり、98 万円以上の平均標準報酬月額が必要であることがわかります。

しかし、「厚生年金の月額報酬」は65万円が最高の区分額と決められているため、給与額がそれ以上に高かったとしても標準報酬月額が65万円以上になることはありません。

例えば平均標準報酬月額が65万円で43年間加入した場合のおおよその年金額は下記の通りとなり、年金額を30万円とするためには不足していることがわかります。

65万円×(5.481/1000)×(43年間×12ヶ月)=183万8327円 (月額でおよそ15万3200円)

ここでさらに、平均標準報酬月額には賞与額も加味されることを考慮していきます。計算に含む賞与の金額は1回の支給につき上限額150万円まで、さらに年間の上限回数が3回までと決められています。

そのため、年間で加算できる上限金額は450万円です。

例えば月額報酬が65万円、年間の賞与額が450万円の状態を43年間続けたとすると、平均標準報酬月額は(65万円×12ヶ月+450万円)÷12ヶ月の式により、102万5000円となります。

この平均標準報酬月額で年金額を計算すると、下記の通りとなります。

102万5000円×(5.481/1000)×(43年間×12ヶ月)=289万8901円 (月額でおよそ24万1500円)

この場合、老齢基礎年金の6万8000円と合わせて30万9500円となるため、月額の年金受取額が30万円を超えることになります。

つまり、もし加入期間43年間で年金額が30万円を超えるためには、加入から引き続き43年間月額報酬65万円以上を維持して、毎年150万円、3回分の賞与の支給を受ける必要があるということになります。

普通の働き方をしている場合、かなり厳しい条件であることがわかります。

ここで次に、受け取り金額を増加させるためのもう1つの条件について考えていきます。