3. 老後に100%年金だけで生活できている人は41.7%
では最後に、老後の大きな収入源となる「公的年金」の平均月額を確認していきましょう。
年金には「国民年金」と「厚生年金」があり、あなたが将来どちらの年金を受け取れるかは下記を参考にすると良いでしょう。
- 国民年金のみ受給:自営業者、フリーランス、専業主婦など
- 国民年金と厚生年金どちらも受給:会社員、公務員など
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金と厚生年金(国民年金を含む)それぞれの平均月額は下記のとおりです。
【国民年金の平均月額】
- 全体:5万6316円
- 男性:5万8798円
- 女性:5万4426円
【厚生年金の平均月額(国民年金を含む)】
- 全体:14万3973円
- 男性:16万3875円
- 女性:10万4878円
国民年金の平均月額は約5万円台、厚生年金の平均月額は約14万円台となっており、現役時の給与と比較すると少ないものといえます。
厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、100%年金だけで生活している人は「41.7%」となっています。
つまり、シニア世帯の半数以上が「年金だけでは生活を維持するのが困難である」と感じていることが示されています。
現在のシニア世代における平均的な家計収支が赤字であることや、年金の平均月額が低いことから、年金だけに頼らず老後資金を準備する重要性がうかがえます。
4. 今のうちから少しずつ貯蓄をしていこう
本記事では、シニア世代の平均貯蓄額や貯蓄割合といった、貯蓄事情について詳しく紹介していきました。
シニア世代の貯蓄事情をみると、貯蓄ができている世帯と貯蓄が十分にできていない世帯で二極化していることがわかりました。
年金だけで100%生活できている世帯が半数以下しかいない実態から、ある程度の老後資金は、老後生活を送るうえでの安心材料になり得ます。
資金準備は早ければ早いほど有利になるため、今のうちから少しずつ老後の備えを始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
和田 直子