2. 児童手当拡充と扶養控除縮小による家計への影響

児童手当が高校生まで拡充されることで、扶養控除の縮小が検討されています。現行制度で児童手当ての支給がない高校生(16~18歳)がいる家庭は、扶養控除として1人当たり38万円(所得税)の控除を受けることができます。

児童手当が支給される15歳以下は扶養控除の対象とならないため、15歳以下の取り扱いとのバランスを取るために、高校生年代の扶養控除の廃止が議論されました。

しかし、この年代は教育費の支出がかさむ時期であることを考慮して、廃止ではなく縮小で検討されています。

<見直し案>

  • 16~18歳の子どもがいる家庭に適用される扶養控除(1人当たりの年間控除額)
  • 所得税:38万円から25万円に引き下げ
  • 住民税:33万円から12万円に引き下げ

2025年度税制改正において結論を得るとのことですが、仮にこの控除額で決定した場合、該当する子育て世帯の家計にはどのような影響があるのでしょうか。

この点について政府は、児童手当拡充と扶養控除の見直しをあわせた、年収ごとの差し引き受益額を試算しています。

差し引き受益額=「児童手当(年12万円)」-「所得税と住民税の増加分」

児童手当の拡充と扶養控除見直しによる受益のイメージ

児童手当の拡充と扶養控除見直しによる受益のイメージ

出所:「扶養控除見直しの影響への対応に係る関係府省会議の開催について・資料3」

所得が高い人ほど税率が高くなるため、扶養控除縮小の影響が大きくなりますが、児童手当の所得制限により、特別給付の5000円、あるいはまったく支給がなかったものが満額支給されるため、差し引きではプラスになります。政府試算によると、給与収入4410万円超えでも3万9000円のプラスになっています。

一方、所得が低い人は、扶養控除縮小の影響は少ないため、児童手当が高校生まで拡充される恩恵をそのまま受けられます。所得が低いほど受益は大きく、所得が高くなるに従って、受益は減っていきますが、それでも子育て世帯の全世帯が受益を得られることがわかります。