5. 老後の生活に備えて今からできること
ここまで厚生年金・国民年金それぞれの平均受給額や、日本の公的年金まわりの制度について解説しましたが、ここで紹介したのは、あくまで「現時点のデータ」であることには注意しておかなければなりません。
なぜなら、将来的には年金の給付水準が今よりも低下することが予想されているからです。加えて、今後は老齢年金の受給開始年齢も、現時点の65歳より後ろ倒しになる可能性があります。
さらに、平均的な受給額だけでなく、自分自身が受け取る年金額をなるべく正確に知っておくことも重要です。
厚生年金の場合は特に、加入期間や収入などにより受給額に個人差が生じやすいため、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」なども活用し、自分の状況に合った予測金額をを確認しておいた方が良いでしょう。
ねんきん定期便は、毎年の誕生日月(誕生日が1日の方はその前月)に日本年金機構から届きます。
将来受け取れる年金額と老後の生活費を前もって見込んでおくことで、老後に向けて貯蓄をいくら用意しておくべきかが見えてきます。まずは現状を把握することからはじめてみましょう。
6. まとめにかえて
厚生年金受給者のうち、46.1%が月額15万円以上を受給しており、年金が少ない方には「年金生活者支援給付金」が給付されますが、そういった制度を活用しても年金だけで生活を支えるのは難しい家庭が多いのが現状です。
老後は介護費用や医療費といった予想外の支出が発生することもあり、また、医療技術の進歩による平均寿命の延びも、老後の生活費が長期間にわたる一因となるかもしれません。
そのため、老後に向けた早めの資産準備が重要です。老後に資産を用意しようとしても、時間が限られてしまえば十分な額を準備するのは困難です。現役時代のうちから計画的な貯蓄や資産運用を始めることが大切であり、「時間」が最大の味方となります。
もし資産運用を検討している場合は、金融商品における投資手法のひとつとして、ドル・コスト平均法があります。一定の金額を定期的に投資することで、価格変動のリスクを抑えながら資産を積み立てることが期待できる方法です。投資にはリスクが伴いますので、考えられるリスクはできるだけ抑えて安定的な運用を目指しましょう。
老後までまだまだ時間ある方も余裕を持って、資金準備ができると良いですね。
参考資料
- 厚生労働省「平成14年度から令和6年度までの地域別最低賃金改定状況」
- 厚生労働省「令和6年度中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(第5回)資料」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
- 厚生労働省「令和6年度からの後期高齢者医療の保険料について」
- 厚生労働省「国民年金 老齢基礎年金(2024年度版)」
山本 大樹