2024年8月8日、厚生労働省が「令和4年度国民健康保険(市町村国保)の財政状況について」を発表しました。

国民健康保険の単年度収入額は23兆5187億円、単年度支出額は23兆6379億円で、補填目的の繰入金748億円を除くと、1067億円の赤字となりました。

赤字となっているのは国のお金だけではありません。物価上昇の影響により、個人の家計にも影響が出てきています。

特に高齢者世帯全体の半数以上は、公的年金や恩給だけでは生活できないということが「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」より明らかになりました。

老齢年金の受給額は個人で異なりますが、多くの高齢者が厳しい年金暮らしをしている様子が窺えます。

本記事では、現・老齢年金世代の年金受給額に関するデータをもとに年金暮らしの実態を確認していきます。

厚生労働省が示す夫婦世帯のモデル年金額もご紹介しますので、参考にご覧ください。

1. 高齢者世帯の58.3%が「100%年金収入だけでは生活できていない」

厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、100%年金収入だけで生活できていない高齢者世帯は、約6割となりました。

【写真全4枚】1枚目/公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合、2枚目/厚生年金の平均月額

公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合

出所:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」

上記の調査結果から、多くの世帯が「生活費を年金以外の収入で補わなければならない」現状が見受けられます。

これは、年金収入に対して支出が多くなっており、財政的なバランスが崩れていることを示しています。

公的年金(国民年金や厚生年金)の受給額が十分でなく、多くの高齢者が生活費の負担を軽減するために、貯蓄や他の収入源を頼る必要がある状況に直面していると考えてよいでしょう。

また、医療費や介護費用の増加、物価上昇、そして年金制度そのものの見直しなども、年金だけでは生活できない世帯が多くなっている背景にあるとされています。

上記をふまえ、老後の生活設計においては、年金以外の収入を確保することがますます重要になってきています。

では、現在のシニア世代が受け取っている年金収入はどの程度なのでしょうか。次章にて、厚生年金・国民年金の平均月額を確認していきましょう。