3. 在職定時改定で年金はどう変わる?1年間でいくら増える?
在職定時改定により増える年金額は「1年分の老齢厚生年金の報酬比例部分」です。老齢厚生年金の報酬比例部分とは、65歳から受け取れる厚生年金の大部分を占める金額で、以下のように計算します。
2003年3月までの加入期間
- 平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの厚生年金保険加入期間月数
2003年4月以降の加入期間
- 平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の厚生年金保険加入期間月数
在職定時改定では、前年9月から当年8月までの1年間で納めた保険料が年金額に反映されます。よって、2003年4月以降の加入期間で考えると「平均標準報酬額×5.481/1000×12」の金額が増額されて支給されるのです。
たとえば、2003年4月以降の加入期間で平均標準報酬額が20万円だった場合、1ヶ月あたり1096円の年金が増えます。年間では1万3154円まで年金が増額されるのです。
在職定時改定は、最大で65歳から69歳までの5年間適用されます。よって、5年で6万5770円の増加した年金を受け取れます。
改定が適用される間は少しずつ年金が増えていくため、厚生年金保険に長く加入するメリットを実感しやすいといえるでしょう。
しかし、在職定時改定により年金額が見直された場合、収入額によっては年金カットの憂き目にあう可能性があります。年金の一部を支給停止とする「在職老齢年金」の制度について、次章で解説します。