2024年8月23日、厚生労働省は「全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされた」と発表しました。
記事によると、47都道府県で最低賃金が50~84円引き上げられ、1978年度の目安制度が始まってから最高額となりました。
このように多くの自治体で最低賃金の底上げが行われていますが、物価上昇のスピードが速いため、それを踏まえても十分な賃金とは言えなさそうです。
また、現役世代が安定した老後生活を送るためには、十分な貯蓄を続けていくことや、資産運用で増やしていくなどの対策が必要です。
今回は現行の年金制度のしくみや、現シニア世代がどのくらいの年金額をもらっているのかを確認していきます。
老後対策の参考に見ていきましょう。
1. 公的年金制度は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て
日本の公的年金制度は国民年金と厚生年金の2階建て構造です。
「国民年金」は日本に住む20歳以上60歳未満のすべて人が原則として加入する年金です。会社員や公務員、一定の要件を満たすパート・アルバイト従業員は国民年金に上乗せして厚生年金にも加入します。
国民年金と厚生年金は保険料も異なるため、老後に受給する年金額にも違いがあります。
まず、国民年金の保険料は全員一律です。年度ごとに見直しが行われますが、加入者は収入の有無や年収に関わらず定められた保険料を納付します。
一方、厚生年金の保険料は年収により決定するため個々で異なります。上限はありますが、年収が高いほど保険料も高くなる仕組みです。
老後に受給する年金額は、この保険料納付状況(厚生年金は年金加入期間も)によって決定します。厚生年金受給者は「国民年金+厚生年金」を受給できるため、国民年金のみを受給する人より年金収入が高い傾向にあります。
なお、詳しくは後ほど確認しますが2022年度末現在の老齢年金の平均受給額は国民年金が5万円台、厚生年金が14万円台です。
では、厚生年金の平均月額14万円台を上回る「月額15万円以上」を受給する人はどれほどいるのか。次章で確認していきましょう。