4. 年金受給のときに気を付けたいポイント
今回の試算では、70歳で受給を開始した場合に生涯での受け取り金額が最高額となりました。ただし、例えば84歳よりもさらに長生きをした場合には、75歳から開始した方が合計の受取額が高額になってくることもあり得ます。
ただしその場合、年金の受給開始年齢を送らせて受取額が高くなるため、所得税の税率も高くなる可能性もあります。
さらに、扶養となる配偶者がいる場合には加給年金という、家族手当の意味合いを持つ追加額についても考慮をすることが必要になる場合もあります。
年金の開始年齢を検討する場合には、そのような点も考慮して決定することが必要です。
5. まとめにかえて
今回説明したように、年金受給の最適なタイミングは、個々人のライフスタイル、健康状態、経済状況などにより異なります。受給年齢を早めることにも遅らせることにも、それぞれメリットとデメリットがあります。
何歳で受給を開始することが最も有利かを判断するためには、自分自身の状況を総合的に考慮し、税金面も含めたシミュレーションをしっかり行って計画を立てることが重要です。
年金の仕組みや税金の仕組みは、一般に生活する方々にとって煩雑なものです。
そのため、最適な選択をするために、ファイナンシャルプランナーなどの専門家の力を借りてみることも一つの手段です。
参考資料
- 厚生労働省「いっしょに検証!公的年金〜年金の仕組みと将来〜第4話日本の公的年金は「2階建て」」
- 厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
- 国税庁「高齢者と税(年金と税)」
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
斎藤 彩菜