老後2000万円問題、4000万円問題など老後の資金について不安に感じている方もいらっしゃるでしょう。
老後の生活資金で押さえておくべき費用の一つに老人ホームの費用があります。
本記事では、老人ホームの利用料について、種類別にご紹介すると共に、老人ホームを低く抑える方法についてもご紹介しています。
1. 公的年金だけでも入れる老人ホームはある?
将来、老人ホームに入居する際、年金収入内で入居できるのであれば安心です。
2023年12月に公表された、厚生労働省の生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金(老齢年金)の平均支給額は約5万6000円でした。
また、同データでは厚生年金(老齢年金)の平均支給額は約14万5000円となっています。
本記事では、公的年金だけで入居できる老人ホームがあるか、について見ていきたいと思います。
2. 老人ホーム(介護保険施設)の種類とそれぞれの違い
一口に老人ホームといってもいくつかの種類があります。
また、老人ホームには民間施設と公的施設がありますが、ここでは公的施設のうち、以下3つの特徴と違いを解説します。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護療養型医療施設(療養)
それぞれ見ていきましょう。
2.1 特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホームは要介護3以上の方が入居できる施設です。
要介護1~2以上の方も自治体からの許可を得ることができれば入居できます。
特別養護老人ホームには「ユニット型個室」や「多床室」などいくつかの部屋のタイプがあり、どのタイプの部屋を利用するかや、利用者・扶養家族の負担能力などにより利用料が定められます。
また、費用は「居住費」や「食費」、「日常生活費」などいくつかの項目に分かれますが、これらを合計すると、特別養護老人ホームの相場は自己負担額で10万~14万円です。
2.2 介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設は退院後にすぐに在宅で生活することが難しい方がリハビリを通して在宅生活に復帰することを目的とした施設です。
介護老人保健施設にもいくつかの部屋のタイプがあります。
また、費用は「賃料」や「食費」、「介護サービス料」などいくつかの項目に分けることができ、利用料の月額相場は10~20万円程度となっています。
2.3 介護療養型医療施設(療養)
介護療養型医療施設は2018年4月に創設された比較的新しい施設で、要介護度の高い方を中心に受け入れが行われています。
介護療養型医療施設も他の公的施設と同様、いくつかの部屋タイプがあり、利用料が異なります。
厚生労働省老健局「介護老人保健施設」によると、利用者1人1月当たりの費用額が令和4年は32万2900円でした。
これまでの3つの施設の中では特別養護老人ホーム(特養)の費用が比較的安価です。所得に応じた利用料金が設定されるため、公的年金だけの収入でも利用できる可能性があります。
ただし、特養は人気が高く、地域によっては長い待機期間が必要な場合もあります。
次章では老人ホームの入居費用をできるだけ抑える方法を解説します。
3. 老人ホームの入居費用を抑える方法3選
ここでは、老人ホームの入居費用を安くする方法として、以下の3つをご紹介します。
- 多床室タイプへ入居する
- 負担限度額認定証制度を利用する
- 医療費控除を申請する
それぞれ見ていきましょう。
3.1 多床室タイプへ入居する
老人ホームにはいくつかの部屋のタイプがありますが、個室タイプのものより、他の入居者で共同で1つの部屋を利用する多床室タイプの方が利用料を安く抑えることが可能です。
少しでも利用料を安く抑えたいのであれば、多床室タイプへの入居を検討するとよいでしょう。
ただし、多床室タイプではプライバシーを確保しづらくなってしまう点には注意が必要です。
3.2 負担限度額認定証制度を利用する
負担限度額認証制度は、「所得」や「預貯金」の額など一定の条件を満たした方が、老人ホームの利用料のうち、限度額を超えた部分について給付を受けられる制度です。
なお、負担限度額認証制度の限度額は、2024年8月より居住費の負担額が1日60円引き上げられることとなりました。
今後も改定が行われる可能性があるため、利用を検討する際は最新の情報を確認することが大切です。
3.3 医療費控除を申請する
公的年金で生活されている方も、毎年税金を納める必要があります。
また、老人ホームの利用料はその一部を医療費控除として申請することが可能です。
医療費控除とは、医療に要した費用を所得から差し引いて申告できる制度です。
介護老人保健施設、介護療養型医療施設は自己負担額の全額を申請できますが、特別養護老人ホームは自己負担額の2分の1となります。
なお、老人ホームの介護施設においては、いくつかある費用項目のうち「日常生活費」と「特別なサービス費用」の額は対象外となっています。
総じて、費用を抑えて老人ホームに入ることは可能ですが、施設の種類や地域によって対応が異なります。早めに情報収集し、家族や専門家と相談するのがおすすめです。
4. まとめにかえて
本記事では老人ホームの入居費用についてお伝えしました。
国民年金は2023年12月のデータで平均約5万6000円である一方、老人ホームの入居費用は8~30万円程度かかる場合があります。
実際には利用する部屋や、利用者の所得等に応じて利用料が変わります。
本記事でご紹介した「負担限度額認定証制度」や「医療費控除」など少しでも負担を軽くする制度の利用をご検討ください。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 令和5年12月」
- 国税庁 No.1125 医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価
- 厚生労働省「特養に入所できるのは 原則として要介護 3 以上の方となります」
- 厚生労働省「サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」」
- 厚生労働省「介護報酬の算定構造」
- 厚生労働省「介護医療院公式サイト」
- 厚生労働省老健局「介護老人保健施設」
- 厚生労働省「施設・居住系サービスについて」
- 厚生労働省「介護保険施設等における居住費の負担限度額が令和6年8月1日から変わります」
逆瀬川 勇造