2.2 65歳以上の単身無職世帯のケース

65歳以上の単身無職世帯は実収入が12万6905円(可処分所得:11万4663円)、消費支出額は14万5430円となっています。

65歳以上の単身無職世帯の家計収支(2023年)

65歳以上の単身無職世帯の家計収支(2023年)

出所:総務省「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」

65歳以上の夫婦のみの無職世帯と同様、単身無職世帯についても「食料」が消費支出の3割程度を占めています。

また、「教養娯楽」と交際費を含む「その他の消費支出」をあわせると3割程度の支出です。

持ち家があり月々の家賃負担がなければ、約14万円の年金で問題なく生活できる人もいるでしょう。

ただし、約14万円前後の年金額で、なおかつ貯蓄がない場合、家の修繕費や家電の買い替えなど臨時の支出が出る可能性もあるので注意が必要です。

また、近年における値上がりなどの影響により、可処分所得の11万円前後のみでは入居できる老人ホームが限られます。

単身で14万円の年金を受給できれば健康な人は不自由なく暮らせると考える人も多いですが、健康を損ねた場合や大きな支出が発生した場合は心もとないかもしれません。

3. まとめにかえて

都道府県ごとに平均年収は異なるように、平均年金月額も異なります。

平均年金月額がもっとも高いのは神奈川県で16万4088円、もっとも低いのは青森県で12万2134円で、両県では月額で4万円以上の差があります。

現役世代であれば、臨時の支出が発生した場合や経済的に余裕がない時期は、副業や単発バイトで不足分を補うという選択もあると思います。

一方、高齢者は身体的な理由などから「年金だけでは足りないから働こう」「家電を買い替えるためにバイトしよう」といった選択ができないことも多いです。

各エリアにおける平均年金月額程度の年金があれば、普段の生活に困ることは少ないと思われます。

しかし、現役時代からの貯蓄がなければ、臨時の支出が発生したときのことが懸念されます。

参考資料

西田 梨紗