私たちの生活において、身近なものの値上がりが今も続いています。
例えば、ここ最近は納豆を100円以内で購入するのが難しくなってきているようです。
また、配送料金や大手飲食チェーン店も値上げを続けています。
こうした中で、年金を主な生活費としている高齢者の暮らしは厳しいケースが多いといわれています。
厚生労働省年金局による「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、厚生年金の平均月額は14万3973円、国民年金の平均月額は5万6316円となっています。
実際の年金受給額は雇用形態や勤続年数によって変わってきますが、平均年金月額は都道府県によっても大きく異なります。
本記事では、都道府県別の年金受給額を確認するとともに、約14万円の年金で生活できるのか考えていきましょう。
1. 都道府県別の平均年金月額ランキング。もっとも高いのは神奈川県で約16万円
平均年金月額が高い都道府県ベスト5、および平均年金月額が低い都道府県ベスト5を厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から見ていきましょう。
1.1 平均年金月額が高い都道府県ベスト5
【写真全4枚中1枚目】平均年金月額が高い都道府県ベスト5。2枚目以降、平均年金月額が低い都道府県ベスト5を解説1/4
出所:厚生労働省年金局 「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに筆者作成
〈平均年金月額が高い都道府県ベスト5〉
- 1位:神奈川県 16万4088円
- 2位:千葉県 15万8918円
- 3位:東京都 15万7478円
- 4位:奈良県 15万6630円
- 5位:埼玉県 15万5412円
関東地方は全国的に見て平均年金月額が高い傾向にあります。
東京都には大企業や外資系企業、公的機関、大手法律事務所などが集まっています。
関東地方にはこれらの組織に勤めていた人が集まっていることも、平均年金月額が高い1つの理由でしょう。
また、奈良県は関東以外のエリアで上位5位以内に唯一ランクインしていますが、奈良県が属する近畿地方は関東地方に次いで、平均年金月額が高いです。
兵庫県(15万3197円)や大阪府(15万477円)も平均年金月額は15万円を超えています。
なお、平均年金月額が15万円を超える都道府県は8つ(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県、奈良県)あります。
続いて、平均年金月額が低い都道府県を見ていきましょう。
1.2 平均年金月額が低い都道府県ベスト5
〈平均年金月額が低い都道府県ベスト5〉
- 1位:青森県 12万2134円
- 2位:秋田県 12万3060円
- 3位:宮崎県 12万3237円
- 4位:沖縄県 12万3459円
- 5位:山形県 12万4586円
東北地方は平均年金月額が全国的に見て低い傾向にあります。
東北地方には平均年金月額が12万円台の県が複数あります。
なお、平均年金月額が12万円台の都道府県は13(青森県、岩手県、秋田県、山形県、鳥取県、島根県、徳島県、高知県、佐賀県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県)あります。
国内における平均年金月額は例年14万円台ですが、エリアによっては14万円を大きく超えたり、大きく下まわったりしています。
ただし、平均年金月額が低いエリアで暮らす人たちは老後の生活水準が低い傾向にあるというわけではありません。
こうしたエリアは大都市圏よりも生活コストが安くおさまる傾向にあるため、生活水準が平均より低くなると懸念する必要は必ずしもないでしょう。
次の章では、老後の生活は約14万円で成り立つのか解説します。
2. 老後の生活、約14万円で成り立つの?
前に説明したように、平均年金月額は地域によって差がありますが、平均は14万円台となっています。
ここでは、老後の生活は約14万円で成り立つのか総務省「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」を参照し、考えていきましょう。
2.1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯のケース
65歳以上の夫婦のみの無職世帯は、実収入が24万4580円(可処分所得:21万3042円)、消費支出額は25万959円です。
夫婦それぞれに年金が支払われているケースも多いため、実収入は二人分の年金をあわせた金額という世帯が多いと思われます。
消費支出のうち「食料」は全体の3割程度ともっとも多くを占めています。
また、「教養娯楽」と交際費を含む「その他の消費支出」をあわせると、こちらも全体の3割程度を占めています。
「光熱・水道」「文通・通信」は固定費になるほか、「保健医療」は自分で調整することが難しい支出項目になります。
上記の家計支出内訳では赤字が発生していますが、「不足分」は貯蓄などで補っているのでしょう。
貯蓄がない場合は「食料」「教育 教養娯楽」「その他の消費支出」等を調整し、予算内におさめる必要があります。
毎月手元に入る年金が夫婦で20万円前後の場合、家電の買い替えや家の修繕が必要になると貯蓄がなく、さらに貯蓄できるだけの年金がなければ困るだろうと懸念されます。
次に65歳以上の単身無職世帯のケースを解説します。
2.2 65歳以上の単身無職世帯のケース
65歳以上の単身無職世帯は実収入が12万6905円(可処分所得:11万4663円)、消費支出額は14万5430円となっています。
65歳以上の夫婦のみの無職世帯と同様、単身無職世帯についても「食料」が消費支出の3割程度を占めています。
また、「教養娯楽」と交際費を含む「その他の消費支出」をあわせると3割程度の支出です。
持ち家があり月々の家賃負担がなければ、約14万円の年金で問題なく生活できる人もいるでしょう。
ただし、約14万円前後の年金額で、なおかつ貯蓄がない場合、家の修繕費や家電の買い替えなど臨時の支出が出る可能性もあるので注意が必要です。
また、近年における値上がりなどの影響により、可処分所得の11万円前後のみでは入居できる老人ホームが限られます。
単身で14万円の年金を受給できれば健康な人は不自由なく暮らせると考える人も多いですが、健康を損ねた場合や大きな支出が発生した場合は心もとないかもしれません。
3. まとめにかえて
都道府県ごとに平均年収は異なるように、平均年金月額も異なります。
平均年金月額がもっとも高いのは神奈川県で16万4088円、もっとも低いのは青森県で12万2134円で、両県では月額で4万円以上の差があります。
現役世代であれば、臨時の支出が発生した場合や経済的に余裕がない時期は、副業や単発バイトで不足分を補うという選択もあると思います。
一方、高齢者は身体的な理由などから「年金だけでは足りないから働こう」「家電を買い替えるためにバイトしよう」といった選択ができないことも多いです。
各エリアにおける平均年金月額程度の年金があれば、普段の生活に困ることは少ないと思われます。
しかし、現役時代からの貯蓄がなければ、臨時の支出が発生したときのことが懸念されます。


