6. 社会保障給付の増加により国民負担が高まる
医療や介護の給付の増加により、今後の健康保険料や介護保険料は現在より高くなる可能性があります。
内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、2023年10月1日現在の高齢化率(全人口に占める65歳以上の割合)は29.1%ですが、2070年には38%を超えると予想されています。
医療費や介護費用を抑えたり、個人負担(病院での窓口負担など)を高めたりしないと、保険料の負担増は避けられません。
国民年金保険料や厚生年金保険料については上限が設けられたため、大幅なアップはありません。
ただし、保険料負担を抑えるために、年金給付の水準は低下します。
7. まとめにかえて
2022年度の社会保障給付費は前年より減少しましたが、主な要因は新型コロナウイルス感染症対策関係費が減少したことです。
一時的な現象であり、少子高齢化の進展とともに社会保障給付費は今後も増加し、社会保険料の上昇という形で国民の負担も増えます。
社会保障の内容は国会で決まりますが、その費用を負担するのは国民です。
国任せにするのではなく、国民一人ひとりが社会保障の負担と受益について関心を持つことが重要です。
参考資料
- 国立社会保障・人口問題研究所「社会保障費用統計(旧社会保障給付費)」
- 内閣府「1 高齢化の現状と将来像|令和6年版高齢社会白書(全体版)」
- 国立社会保障・人口問題研究所「令和4(2022)年度 社会保障費⽤統計の概要」
- 日本年金機構「厚生年金保険料額表」
- 日本年金機構「国民年金保険料の額は、どのようにして決まるのか?」
西岡 秀泰