2. 正社員とフリーランスのはざま「偽装フリーランス」とは
フリーランス人口が増えたことで「偽装フリーランス」が企業に搾取されることが、問題となっています。偽装フリーランスとは、本来事業者であるフリーランスが、まるで労働者のように扱われている状態を指します。
正社員は雇用される労働者です。よって、使用者である企業と労働者との間には、主従関係が発生します。一方、フリーランスは業務委託を受ける事業者という扱いになります。
この場合、基本的に働く時間や場所などは事業者であるフリーランスに裁量があり、企業とフリーランスは主従関係にありません。
偽装フリーランスのような働き方が認められると「最低賃金以下でフリーランスを使って会社で働かせる」「社会保険の保険料負担なく人手を増やす」といった違法な働き方がまかり通ってしまいます。
現在はこうした働き方を罰する法律が存在しないため、企業が「労働力搾取」をしている状況となっているのです。
偽装フリーランスにあたる働き方が多いとされている主な職種としては、美容師や運転手、清掃スタッフ、料理人などが挙げられます。
2.1 労働基準監督署では偽装フリーランス問題をどう判断する?
では、労働問題に関して監督している労働基準監督署は、偽装フリーランスについてどのような見解を示しているのでしょうか。
労働基準監督署は、フリーランス事業者から「自分は労働者のように働いている」という申告があった場合、事実確認を行っています。確認の結果、労働者とみなされ違反が認められた際は、該当の企業に対して監督指導しています。
一方、現時点では法律に基づいた指導ができません。フリーランス新法が施行されていないためです。そのため、監督指導は「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」に基づき行なっていると考えられます。
また、あくまで事業者本人の申し出がない限り調査に乗り出せません。偽装フリーランス問題に関する労働基準監督署の介入は、難しい状況となっているようです。