2024年7月3日に、厚生労働省は「令和6年財政検証の結果について(報告)」を公表しました。年金の健康診断ともいわれる財政検証。ここで注視したいのが「所得代替率」です。

所得代替率とは、65歳から受け取り始める夫婦の年金額が現役世代の男性の手取り額の何%になるかを示すもので、政府はこれが50%を下回らないことを目標としています。

今回の財政検証では、現在の所得代替率は61.2%となりましたが、今後の見通しを4パターンの経済シナリオで試算した場合、50%は超えているものの、現在の水準を下回る結果となりました。

「将来の年金水準が心配」という声をよく聞きますが、財政検証の結果からも、老後の生活を年金収入のみに頼るのは心もとないかもしれません。

今回は、現在年金を受給している年代の平均受給額や、貯蓄額を確認していきます。まず現在の状況を知り、年金だけで十分に生活できるのか参考にしていきましょう。

1. 老後、年金収入だけで生活できる高齢者世帯は41.7%

厚生労働省「2022(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、公的年金だけで生活できる高齢者世帯は41.7%であることが分かりました。

【写真全4枚中1枚目】公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合。2枚目では「65歳以上・無職夫婦世帯の平均貯蓄額」を見る

公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合

出所:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」

公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合

  • 100%の世帯:41.7%
  • 80~100%未満の世帯:17.9%
  • 60~80%未満の世帯:13.9%
  • 40~60%未満の世帯:13.2%
  • 20~40%未満の世帯:9.3%
  • 20%未満の世帯:4.0%

老後、公的年金の収入で生活費をカバーできない場合、働いて収入を得る、貯蓄を取り崩すなどしながら、不足分を補填する必要があります。

かつて話題となった「老後2000万円問題」を発端とし、老後に向けた資産形成への関心が高まっていますが、現代のシニア世代は貯蓄をどのくらい保有しているのでしょうか。