連日の猛暑で、体調管理が難しい季節となりました。そんな中、生活費の上昇に頭を悩ませている方も少なくないでしょう。

最近の物価高騰を受け、政府は「住民税非課税世帯」などを対象とした給付金を支給し、家計を支援しています。

しかし、住民税非課税世帯の定義や、自分が該当するかどうかを詳しく知る機会は少ないかもしれません。

本記事では、住民税の仕組みから非課税世帯になるための要件、そして住民税非課税世帯に該当しやすい年齢層について、厚生労働省の統計データを基に解説します。給付金の情報だけでなく、ご自身の将来のお金の計画を考えるヒントとしてお役立てください。

1. 住民税非課税世帯・3万円給付金(2024年度補正予算)

住民税非課税世帯などを対象とする「現金給付」により、家計を支援する施策は、コロナ禍以降しばしばおこなわれてきました。

これらの支援策は、物価高騰の影響を特に受けやすい世帯の生活を下支えするもので、多くの場合「1世帯あたり数万円」の給付に加え、子育て世帯には子ども1人あたりの加算がおこなわれるといった内容になっています。

直近の例を挙げると、2024年度補正予算に盛り込まれた、特に物価高の影響を受けやすい「住民税非課税世帯」を対象とする給付金です。

このように、各種公的支援の対象基準としてよく挙がるのが「住民税非課税世帯」という区分です。

【ご注意】「住民税非課税世帯」を対象とする「3万円給付金」は、2025年1月以降、各自治体で順次給付作業がスタートし、8月現在、多くの市区町村ですでに申請期限を迎えています。

給付金の申請方法や給付までのスケジュール、細かい支給要件などは市区町村により異なります。お住まいの自治体の最新情報を、ホームページや広報誌などでご確認ください。LIMOでは個別のお問い合わせへのお答えはいたしかねます。

2. 住民税非課税世帯とは?

まずは住民税の仕組みを確認し、住民税非課税世帯となる要件を見ていきましょう。

2.1 住民税の基本

住民税は「均等割」と「所得割」の2層構造1/5

個人住民税のしくみ

出所:総務省「個人住民税」

住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に支払う地方税です。地方自治体の重要な財源であり、公共サービスやインフラ整備に使われます。

個人住民税は、均等割と所得割の2つの部分から成り立っています。

  • 均等割:所得に関係なく一律に課税される部分
  • 所得割:所得に応じて税額が決まる部分

均等割・所得割ともに免除になることを「住民税非課税」と言います。「住民税非課税世帯」は、世帯全員が住民税非課税となる世帯を指します。

なお、「住民税の所得割のみ非課税」となる区分もあります。ただし今回の給付金の対象となるかどうかは自治体により異なるため、必ずお住まいの市区町村などの基準をご確認ください。

3. 住民税が非課税となる<3つの要件>

では、住民税が非課税となる要件を詳しく見てみましょう。

以下のいずれかに該当した場合、住民税が非課税となります。

  1. 生活保護を受けている
  2. 障害者、未成年者、寡婦(夫)、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
  3. 前年の所得が各市区町村の基準を下回る

1と2の要件は全ての市区町村で共通ですが、3の所得要件は市区町村ごとに異なる基準があります。

4. 住民税非課税世帯・所得要件【神戸市】

「住民税非課税世帯」となる所得基準を、兵庫県神戸市の例を見てみましょう。

35万円×(本人+同一生計配偶者(※)+扶養親族数)+10万円+21万円

ただし、21万円は同一生計配偶者(※)または扶養親族がいる場合のみ加算

※同一生計配偶者とは、納税義務者と生計を一にする配偶者で、前年の合計所得金額が48万円以下の人

5. 住民税非課税世帯・収入目安【神戸市】

住民税が非課税となる所得の基準は、上述の「同一生計配偶者や扶養親族数」の他、収入の種類によっても変動します。

所得は収入から各種控除額を差し引いた金額となるため、神戸市の基準を「収入金額に換算」して確認しましょう。

単身世帯

合計所得金額が45万円以下になる方

  • 給与収入のみで収入金額が100万円以下
  • 年金収入のみで収入金額が155万円以下(65歳以上)
  • 年金収入のみで収入金額が105万円以下(65歳未満)

同一生計配偶者か扶養家族が1名いる場合

合計所得金額が101万円以下になる方

  • 給与収入のみで収入金額が156万円以下の方
  • 年金収入のみで収入金額が211万円以下の方(65歳以上)
  • 年金収入のみで収入金額が171万3333円以下の方(65歳未満)

単身世帯の場合、給与収入のみであれば100万円以下、65歳以上の年金収入のみであれば155万円以下で住民税が非課税となります。

同一生計配偶者や扶養親族がいる場合、非課税となる収入目安は引き上げられます。

とくに65歳以上の年金収入のみの世帯では211万円以下と、単身世帯より大幅に緩和されていることが分かります。

このように、世帯構成や収入源によって、住民税の負担が変わってくるのです。

6. 住民税非課税世帯になりやすい人とは

厚生労働省の「令和6年国民生活基礎調査」の資料から、年齢層別に住民税が「課税される世帯」の割合を見てみましょう。

  • 29歳以下:63.0%
  • 30〜39歳:87.5%
  • 40~49歳:88.2%
  • 50~59歳:87.3%
  • 60~69歳:79.8%
  • 70~79歳:61.3%
  • 80歳以上:52.4%
  • 65歳以上(再掲):61.1%
  • 75歳以上(再掲):54.4%

※  全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯を含む
総数には、年齢不詳の世帯を含む
住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯を含む

住民税が課税される世帯の割合は、30~50歳代では90%弱でしたが、60歳代で79.8%となります。その後65歳以上は61.1%、75歳以上は54.4%となっています。

年齢が高くなるにつれて、住民税が課税される世帯の割合は低くなっています。

一般的に年金生活に入ると現役時代よりも収入が減少し、それに加えて65歳以上の方には公的年金に対する所得控除が大きく、また遺族年金は課税対象とはなりません。

こうしたことからも、年金受給中のシニアは「住民税非課税世帯」に該当しやすい傾向があると言えるでしょう。

7. 公的年金だけに頼るシニア世帯の割合

公的年金のみの収入で暮らすシニア世帯、公的年金以外の収入があるシニア世帯、その比率はどのようになっているのでしょうか。

厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の収入の実態を見ていきましょう。

まず、高齢者世帯全体の平均的な所得構成を見ると、収入の63.5%を「公的年金・恩給」が占めており、次いで仕事による収入である「稼働所得」が25.3%、「財産所得」が4.6%となっています。

しかし、これはあくまで全体の平均値です。

「公的年金・恩給を受給している世帯」に絞ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯が43.4%にものぼることがわかっています。

※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

7.1 【総所得に占める公的年金・恩給の割合別 世帯構成】

  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%

このようにシニア全体で見れば稼働所得なども一定の割合を占めていますが、年金受給世帯に絞ると、その半数近くが公的年金収入のみに頼って生活しているという実態が浮き彫りとなっています。

8. まとめ

本記事では、住民税非課税世帯の定義や基準、そして高齢者世帯における収入の実態について詳しく解説しました。データからも分かる通り、高齢になるほど住民税が非課税となる世帯が増加し、特に年金のみで生活している高齢者世帯が多数を占めているのが現状です。

物価高騰の影響を受けやすいこれらの世帯を対象とした給付金はありがたい支援ですが、老後を豊かに暮らすためには、年金だけでは不十分であるということを認識すべきです。

給付金に頼る生活から脱却するためにも、現役時代から計画的に資産形成に取り組み、将来の経済的な自立を目指しましょう。

まずは、ご自身の家計を見直し、無理のない範囲で資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料