5. まとめにかえて
今回は国民年金と厚生年金の平均受給額を詳しく見てきました。国民年金の男女全体の平均受給額は5万6316円、厚生年金(※国民年金を含む)は14万3973円でした。
会社員や公務員であれば、国民年金と厚生年金の両方を受け取れるため、ひと月に受け取れる平均年金受給額も14万円台となっています。
しかし、自営業者やフリーランスの場合は受け取れる年金が国民年金のみとなるため、ひと月に受け取れる年金額は約5万円です。
老後は現役時代に比べると生活費のコストが下がると言われるものの、月5万円で生活費を賄うのは厳しい話でしょう。
「老後に受け取れる年金額がどのくらいか?」や「自身の老後のライフスタイル」によって、年金だけでも生活できるか、もしくは個別で老後資金を数千万円用意する必要があるかは違ってきます。
まずは、ねんきんネットやねんきん定期便を参考に将来受け取れる年金見込額を確認し、理想の老後生活に必要な老後資金を計算し、不足する老後資金準備の計画から立ててみてはいかがでしょうか。
6. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。
6.1 年金の主な種類と仕組みは?
日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。
国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。
6.2 「繰下げ受給」とはどんな制度?
年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。
例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。
6.3 年金を増やす方法はあるのか?
年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。
また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。
さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」2024年6月21日
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
鶴田 綾