3. 長い目で見ると長く働いたほうがよい?
年収の壁を超えないように就業調整すれば、配偶者控除を受けられるだけでなく本人の社会保険料の負担を避けられるため、世帯全体の手取り額を増やせるメリットがあります。
しかし、長い目で見れば、できるだけ長く働いたほうが得をする可能性はあるでしょう。
さらに、2024年10月からは社会保険の適用範囲が拡大され、新しく社会保険に加入するパート労働者の方もいます。
社会保険に加入すると自分で社会保険料を納めるため、年収次第では「受けられる配偶者控除が減る」「社会保険料の負担が発生する」というダブルの負担増が起こり得ます。
しかし、社会保険に加入すれば将来の年金受給額を増やすことができ、さらに要件に該当すれば傷病手当金や出産手当金を受けられます。
長生きリスクに備えられるだけでなく、万が一の備えも手厚くできるわけです。
基本的に女性は男性よりも平均寿命が長いため、より長生きリスクに備える必要性が高いといえます。
年収の壁を気にして就業制限をするよりも、体力・気力面に余裕があれば長く働くことで将来的に得をする可能性にも目を向けるのも一つでしょう。
もちろん家庭の環境や個人の状況によるので、ご自身にあった働き方を考えましょう。
4. まとめにかえて
将来的に、配偶者控除は廃止される可能性はあります。
家庭状況によって差がありますが、もし廃止となったら世帯全体の手取り額に影響が出る点に留意しましょう。
長い目で見ると、現役時代にできるだけ長く働き、多くの収入を得たほうが将来的に得をする可能性があります。
長い目でも見てライフプランを考えてみるのもいいでしょう。
参考資料
- 内閣府「税制調査会 2024年度」
- 国税庁「No.1191 配偶者控除」
- 国税庁「No.1195 配偶者特別控除」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
柴田 充輝