3. 生活保護受給中は収入の状況を毎月申告しなければならない
生活保護の受給中は収入の状況を毎月申告しなければなりません。
高齢者のなかには趣味を兼ねて、小物の販売や習い事の先生など収入を得ている人もいるかもしれませんが、こうした収入も申告の義務が生じます。
また、福祉事務所のケースワーカーの訪問調査もあります。
一定額以上の貯蓄は認められないので、お金を貯めて旅行に行ったり、高価な商品を購入したりすることも基本的にできません。
持ち家や自家用車については要相談となるため、この点も注意が必要です。
4. まとめにかえて
国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は2022(令和4)年度末現在で5万6000円、2022(令和4)年度新規裁定者で5万4000円です。
この金額で老後の住居費や医療費をまかなわなければなりません。
一方、生活保護の場合、在住エリアや健康状態などによるため支給額は一概には言えないものの、「住宅扶助」とは別に「生活扶助」として6〜7万円前後支給されることもあります。
額面のみを見ると生活保護の方がいいように思うこともあるでしょう。
しかし、本記事で解説したように、生活保護を受給するには貯蓄や資産価値のあるものの所有は認められず、ケースワーカーとの定期的な面談に対応しなければなりません。
そもそも生活保護は厳しい審査があるため、必ず受給できるものではありません。あくまでも、困窮の程度に応じた保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障することで、その自立を助長する制度です。
最後の砦として知っておく必要はあるものの、老後の資産形成については冷静に考える必要があるでしょう。
参考資料
- 内閣府「令和6年版高齢社会白書」
- 厚生労働省「生活保護制度の現状について 」
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「R5.5生活保護制度に関するQ&A」
西田 梨紗