健康上の問題や家庭の事情などにより、働けず生活が厳しい方は、生活保護を受けるという方法があります。生活保護を受けるといくらくらいもらえるのか、気になる方もいるのではないでしょうか。
生活保護費は、お住まいの地域や年収、家族構成などにより異なります。そのため、一概に「〇〇円もらえる」とはいえませんが、一般的に都市部であるほど物価や生活水準を考慮して高額になります。
では、地方に住んでいる場合はどのくらいもらえるのでしょうか。月収6万円の独身男性を例にシミュレーションしてみましょう。
1. 生活保護とは
生活保護は、病気やケガなどの治療のためや家庭の事情などにより、働くことが難しく生活が厳しい方に対して、最低限の生活を保障し、これからの自立をサポートするための制度です。
憲法25条では「健康で文化的な最低限度の生活」を保障することが定められており、生活保護を申請することは国民の権利とされています。
1.1 生活保護を受けられる条件
生活保護費を受給するためには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 預貯金や不動産、生命保険など保有している資産を売却し生活費に充てる
- 働く能力があれば働いて収入を得る
- まずは年金や手当金など活用できる公的制度を優先する
- 扶養親族からの援助が受けられれば、援助を受ける
これらを行ったうえで、世帯収入が最低生活費に満たない場合に、差額分が生活保護費として支給されます。
1.2 生活保護の種類
生活保護費には、生活扶助・住宅扶助・教育扶助・医療扶助・介護扶助・出産扶助・生業扶助・葬祭扶助の8つの種類があります。
生活扶助と住宅扶助をメインとし、ほかにも該当するものがあれば加算して支給されます。
2. 生活保護費の計算方法
生活保護費は、厚生労働大臣が定める基準で計算される「最低生活費」から、給与や公的年金、手当金などを差し引いて計算します。具体的な計算方法を確認していきましょう。
2.1 最低生活費を求める
生活保護でいくらもらえるのかは、生活扶助や住宅扶助などの諸扶助の合計金額である「最低生活費」を計算する必要があります。
最低生活費は、以下の計算式で計算します。
最低生活費=生活扶助+加算額+住宅扶助+教育扶助等+介護扶助+医療扶助+その他の扶助
2.2 級地区分
生活扶助や住宅扶助の金額は、「級地区分」によって異なります。級地区分とは、地域ごとに異なる物価や生活水準の差を、生活保護の基準額に反映させるためのものです。
エリアによって1級地から3級地に分類され、さらにそれぞれが2つずつに分かれて、6段階に区分されています。東京都23区などの都市部が1級地に該当します。
2.3 保護費は最低生活費から収入を引いた金額
最低生活費が計算できたら、そこから給与や公的年金、各手当金などの収入を差し引き、差額が生活保護費として支給されます。
たとえば、最低生活費が10万円で3万円の収入がある場合は、差額の7万円が保護費として支給されるということです。
3. 地方に住む月収6万円男性の生活保護費
ここからは、地方に住む月収6万円男性が、生活保護費としていくらかもらえるのかをシミュレーションしていきます。
地方に住んでいるということは、級地区分が一般的に2級地または3級地に該当するため、「2級地-1」と「3級地-1」を例に取ります。
3.1 「2級地-1」の生活保護費
「2級地-1」は、埼玉県川越市や千葉県柏市、神奈川県伊勢原市などが該当します。
生活扶助の金額は年齢により異なるため、「18歳〜64歳」、「65歳〜74歳」、「75歳〜」の3つの場合に分けて見てみましょう。
生活扶助と住宅扶助の合計額は、「18歳〜64歳」の場合は11万6430円、「65歳〜74歳」は11万5990円、「75歳〜」の場合は10万9890円です。
このほかに、障害者に該当する場合は等級に応じた加算額がプラスされ、居宅介護費用や病院での医療費などがかかった場合も支給されます。このケースでは発生していないため、上記の金額が最低保障額になります。
生活保護費は、最低保障額から収入を差し引いた金額です。そのため、それぞれ6万円を差し引くと、「18歳〜64歳」の場合は5万6430円、「65歳〜74歳」は5万5990円、「75歳〜」の場合は4万9890円となります。
3.2 「3級地-1」の生活保護費
「3級地-1」は、茨城県つくば市や栃木県小山市、千葉県成田市などが該当します。
「18歳〜64歳」、「65歳〜74歳」、「75歳〜」の年齢ごとの生活扶助と住宅扶助の合計金額は以下の通りです。
「18歳〜64歳」の場合は10万9980円、「65歳〜74歳」は10万9570円、「75歳〜」の場合は10万3790円です。
このほかにプラスされる扶助がなければ、上記の金額が最低保障額になります。
最低生活費からそれぞれ6万円を差し引くと、「18歳〜64歳」の場合は4万9980円、「65歳〜74歳」は4万9570円、「75歳〜」の場合は4万3790円となります。
4. まとめにかえて
生活保護は、住んでいる場所や年収、家族構成などにより受給額が異なりますが、都市部の方が物価や生活水準を考慮して高額になるのが一般的です。また、収入がある場合は、差し引いた差額が支給されます。
病気やけが、家庭の事情などで働けなくなる可能性は誰にでもあります。生活保護は憲法で保障された権利なので、生活が苦しく困った場合は、福祉事務所や役所の福祉担当窓口に相談しましょう。
参考資料
木内 菜穂子