厚生労働省は2024年7月30日、子どもがいない家庭における遺族厚生年金の受給期間を男女とも5年に統一する方針を示しました。
現行制度では男女間に差があるため、性別による不平等を是正する目的があります。
遺族年金は生計を支える人に万が一の事態が起きたとき、遺族の生活を経済的に支える重要な社会保険制度です。
不幸はいつ起こるかわからない以上、遺族年金の仕組みを理解することは有意義です。
今回は、遺族年金の制度や受給額の目安を解説します。
1. 「遺族基礎年金」とは
公的年金は2階建ての制度設計になっており、遺族基礎年金は1階部分にあたります。
以下のいずれかの要件を満たす方が死亡したときに、遺族に遺族基礎年金が支給されます。
- 国民年金の被保険者である間に死亡したとき
- 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
- 老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき
- 老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
1および2の要件については、死亡日の前日において保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です(死亡日が2026年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと)。
3および4の要件については、保険料納付済期間・保険料免除期間・合算対象期間を合算した期間が25年以上あることが求められています。
遺族基礎年金の受給対象者は「子のある配偶者」または「子」です。子のない配偶者は受け取れません。
「子」とは、18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方です。
なお、2024年度における遺族基礎年金額は以下のとおりです。
1.1 子のある配偶者が受け取るとき
- 1956年年4月2日以後生まれの方:81万6000円+子の加算額
- 1956年4月1日以前生まれの方:81万3700円+子の加算額
1.2 子が受け取るとき(次の金額を子の数で割った額が1人あたりの額)
- 81万6000円+2人目以降の子の加算額
- 1人目および2人目の子の加算額:各23万4800円
- 3人目以降の子の加算額:各7万8300円
次の章では、遺族厚生年金について確認していきましょう。