6月21日に岸田総理が発表した「住民税非課税世帯への10万円給付」について、テレビやYouTubeで見た方も多いでしょう。

住民税非課税世帯への給付とは、具体的にどのような内容なのでしょうか?

そこでこの記事では、「住民税非課税世帯への10万円給付」について詳しく解説します。

さらに、最新の統計をもとに、「住民税非課税世帯」に多い高齢者の貯蓄状況についても触れていきます。

お金に関する知識、一緒に深めていきましょう。

1. 岸田首相「年金世帯や低所得者世帯向け」給付金を検討

岸田総理は、6月の記者会見において「物価高の中で食費の高騰などに苦しんでおられる年金(生活)世帯や低所得者世帯を対象として、追加の給付金で支援する」と述べました。

今までは住民税非課税世帯や急に家計が厳しくなった世帯が対象でしたが、年金世帯もサポートの対象になりそうですね。

2024年度の年金額がたったの2.7%の増加に留まっているため、物価の上昇に追いつかない現実を踏まえた対応なのかもしれません。いずれにせよ続報が待たれます。

現在、今年度から新たに「住民税非課税世帯」となった人などに向け、現在10万円の給付が進められていますが、どんな人が該当するのでしょうか?

※2023年度に給付金を受け取った人(対象となったが辞退した人・未申請の人も含む)は対象外。

2. 住民税非課税世帯とは?

住民税は前年の所得に基づいて決まりますが、一定の条件を満たせば非課税になる場合もあります。

自治体によって異なりますが、本記事では東京23区内における条件を確認しましょう。

2.1 東京都23区内で「住民税非課税世帯」に該当する条件

(1) 生活保護法による生活扶助を受けている方
 
(2) 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
 
(3) 前年中の合計所得金額が下記の方

  • 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
  • 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下

例えば、東京23区内では「同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合」、目安として所得が45万円以下です。具体的には以下のようなケースが該当します。(港区の場合)

  • アルバイトやパートの給与収入が100万円以下
  • 65歳以上で年金受給のみの人は、年金収入が155万円以下
  • 65歳未満で年金受給のみの人は、年金収入が105万円以下
  • 不動産収入等所得がある人は、収入から必要経費を引き、合計所得が45万円以下(令和2年度まで35万円以下)

給与収入の人は年収目安が100万円以下。年金収入の人は65歳以上で155万円、65歳未満で105万円になっていますね。

このように、年金生活者が住民税非課税世帯に該当するケースが多いことがわかります。

次に、最新データを見て、年代別の住民税非課税世帯の割合についても確認してみましょう。

3. 住民税非課税世帯の割合「30歳代~80歳代」年代別で比較

厚生労働省が7月5日に発表した「令和5年国民生活基礎調査」を基に、年代別の住民税非課税世帯の割合を見てみましょう。

【写真1枚目/全3枚】住民税非課税世帯の年代別割合。高齢者の貯蓄は多い?少ない?次の写真でチェック1/4

【一覧表】住民税非課税世帯の年代別割合

出所:厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」をもとにLIMO編集部作成

  • 30歳代:12.0%
  • 40歳代:10.0%
  • 50歳代:13.6%
  • 60歳代:21.7%
  • 70歳代:35.9%
  • 80歳代:52.5%
  • 65歳以上(再掲):38.1%
  • 75歳以上(再掲):49.1%

このデータからわかるのは、年齢が上がるにつれて住民税非課税世帯の割合が増えるということ。

例えば、65歳以上の世帯では38.1%が住民税非課税世帯に該当しています。年金世代が多くを占めるのも納得です。

高齢者が住民税非課税世帯に該当しやすい理由は、以下のような点が挙げられます。

  • 収入が減少するため
  • 年金収入の方が給与収入よりも高くなりやすいため
  • 遺族年金が非課税であるため

ただし、住民税非課税世帯の判定には資産の有無が関係ないため、貯蓄状況が気になる方も多いでしょう。

次の章では、特に70歳代の金融資産について詳しく見ていきます。

4. 70歳代の貯蓄「二極化」傾向に

70歳代の貯蓄事情は、まさに二極化が進んでいます。金融広報中央委員会の「令和5年家計の金融行動に関する世論調査」から、70歳代のひとり暮らし世帯と二人以上世帯の貯蓄額を詳しく見てみましょう。

4.1 70歳代のひとり暮らし世帯の貯蓄一覧

  • 金融資産非保有:26.7%
  • 100万円未満:5.8%
  • 100~200万円未満:4.3%
  • 200~300万円未満:4.1%
  • 300~400万円未満:3.3%
  • 400~500万円未満:2.5%
  • 500~700万円未満:6.6%
  • 700~1000万円未満:5.1%
  • 1000~1500万円未満:8.6%
  • 1500~2000万円未満:5.3%
  • 2000~3000万円未満:8.2%
  • 3000万円以上:17.3%

平均:1529万円
中央値:500万円

ひとり暮らしの世帯では、貯蓄の中央値が500万円です。

実際には17.3%の人が3000万円以上の貯蓄を持っている一方で、なんと26.7%は金融資産を全く持っていないというデータも。

貯蓄の差がかなり大きいことがわかりますね。

4.2 70歳代の二人以上世帯の貯蓄一覧

続いて二人以上世帯における貯蓄です。

  • 金融資産非保有:19.2%
  • 100万円未満:5.6%
  • 100~200万円未満:5.1%
  • 200~300万円未満:4.3%
  • 300~400万円未満:4.7%
  • 400~500万円未満:2.5%
  • 500~700万円未満:6.2%
  • 700~1000万円未満:5.8%
  • 1000~1500万円未満:10.2%
  • 1500~2000万円未満:6.6%
  • 2000~3000万円未満:7.4%
  • 3000万円以上:19.7%

平均:1757万円
中央値:700万円

こちらはひとり暮らし世帯よりも貯蓄額に余裕がある印象を受けます。

平均額も高めですが、3000万円以上の貯蓄を持っている人が多い一方で、「金融資産非保有」の割合は19.2%。

つまり、二人以上世帯でも貯蓄が乏しい家庭があるというわけです。

高齢者世帯で資産も年金収入も少ない場合、国からの支援が大きな助けになることがよくあります。

お金の問題は個々に異なるので、一人ひとりの状況に応じた支援が求められる時代ですね。

5. まとめにかえて

今回は、「住民税非課税世帯への10万円給付」の該当者や年代別の割合などについて解説をしていきました。

給付金関連のニュースが発表されると誰もが気になってしまうものです。

今回の給付金は誰もが該当するわけではなく、一部の方々が受け取ることができる給付金のためしっかりと理解することが必要です。

今回の給付金以外にも「電気・ガス代」の補助も進めており、政府は国民へ対して「給付金」や「補助」を使い、物価上昇への影響度が高い方への対策を進めています。

給付金受給対象者であったにもかかわらず、「給付金を受け取り忘れてしまった」ということがないようにテレビやSNSを活用し、情報収集をしていきましょう。

お金に関するニュースや問題は分かりにくいものが多いですが、知っておくことで有利に働くことがあります。今回の給付金ニュースもその一つです。

給付金のニュース以外では「新NISA」や「iDeCoの法改正」というニュースももしかしたら聞いたことがあるのではないでしょうか。

「NISA」「iDeCo」はどちらも非課税で、資産運用を行う際に活用できる制度です。

資産運用は元本割れをするリスクがありますが、物価上昇対策・老後資金形成・将来資金形成には有効な方法の一つです。

ニュースと同様に制度・商品についてもしっかりと理解することの重要性も本記事をきっかけに知っていただけたら幸いです。

6. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説

年金Q&Aまとめ4/4

年金Q&A

出所:日本年金機構などをもとにLIMO編集部作成

日本の公的年金制度は、とても複雑に感じる人も多いのではないでしょうか?ここではよくある質問を取り上げて、できるだけわかりやすく説明していきます。

6.1 年金ってそもそもどんな仕組み?

日本の公的年金は、2階建てのシステムになっています。基本的な部分が「国民年金」、そしてその上に「厚生年金」があります。

国民年金

20歳から60歳未満の全員が対象で、自営業やフリーランスの方が加入しています。保険料は毎月同じ額を払う制度です。

厚生年金

会社員や公務員が加入するもので、収入に応じて保険料を支払います。このため、将来受け取る年金額に差が出やすくなっています。

6.2 「繰下げ受給」とは?

年金を受け取る年齢を遅らせると、毎月の受給額が増えるという制度です。

例えば、65歳から受け取る予定を75歳まで待つと、受給額が84%も増えます。

長く働ける人や他に収入源がある人には良い選択肢かもしれませんね。

6.3 年金や老後資金を増やすにはどうすればいい?

年金を増やす方法はいくつかあります。

国民年金の付加保険料

自営業やフリーランスの方は、追加で保険料を支払うことで将来の年金を増やせます。

厚生年金に加入する

会社員に転職したり、厚生年金に加入できる働き方を選ぶことで、将来の年金が増えることもあります。

資産運用

老後資金を増やしたいなら、iDeCo(個人型確定拠出年金)や投資信託を使って、老後資金を増やす手もあります。ただし、運用にはリスクが伴うので、よく考えてから始めましょう。

参考資料

長井 祐人