「どんなふうに老後生活を送りたいか」イメージされる姿はそれぞれあるかと思います。

これまで育児や仕事を頑張ってきた自分自身のために、できれば今思い描いているセカンドライフを実現させたいと誰もが思うものですよね。

海外旅行や趣味に没頭、例えば新しいことを始めてみるなど様々です。

楽しいイメージがある一方で、老後の生活・お金のこと・年金といった不安を感じている方も多いでしょう。

筆者は、個人向け資産運用会社にて資産運用のサポート業務をおこなっていますが、実際「将来資金の準備」「年金制度」といった相談内容も増えてきました。

本記事では、老後生活を助けてくれる「年金」にフォーカスします。

厚生年金、国民年金のそれぞれの平均額と2019年から始まった「年金生活者支援給付金制度」についても詳しく解説していきます。

大切な将来資金のことなのでしっかり確認していきましょう。

1. 2ヶ月ごとに「年金に上乗せして支給される」年金生活者支援給付金のQ&A

年金収入やその他の所得額が一定基準額以下の年金生活者を支援するため、年金に上乗せして「年金生活者支援給付金」が支給される制度があります。

2019年10月1日スタートの制度なので歴史が浅く、まだ知らないという方も多いようです。Q&Aにて見ていきましょう。

1.1 年金生活者支援給付金の財源は?

年金生活者支援給付金の財源は、消費税率の引上げ分です。

消費税が8%から10%になった2019年10月1日に施行され、初回支給日は2019年12月13日でした。

1.2 年金生活者支援給付金の種類は?

年金生活者支援給付金は、受け取る年金種類や所得によって以下のとおり3種類があります。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

1.3 年金生活者支援給付金の支給日は?

基本的に公的年金と同じ日に支給されることとなるため、2ヶ月ごとに振り込まれます。通帳には公的年金とは別枠で記載されるので、2行になっているでしょう。

1.4 年金生活者支援給付金の対象者数は?

制度創設時期での試算によると、老齢年金生活者支援給付金の対象者は約610万人、補足的老齢年金生活者支援給付金の対象者は約160万人、障害年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金の対象者はあわせて約200万人でした。

では、具体的にどのような人が対象になるのでしょうか。

2. 年金生活者支援給付金制度の対象者

給付金の対象者となるのは、以下の要件を満たす方です。

2.1 老齢年金生活者支援給付金の対象者

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が87万8900円以下(※2)

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 77万8900円を超え87万8900円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

2.2 障害年金生活者支援給付金の対象者

  • 障害基礎年金の受給者
  • 前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下

※1 障害年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額

2.3 遺族年金生活者支援給付金の対象者

  • 遺族基礎年金の受給者
  • 前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下

※1 遺族年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額

支給額は、2024年度に3.2%の増額となりました。ただし、個人の状況によって異なるケースもあります。

次章では年金生活者支援給付金の支給額について深堀りしていきましょう。

3. 年金生活者支援給付金制度の支給金額が増額に

年金生活者支援給付金は2024年度に改定され、3.2%の増額となりました。

それぞれの基準額を見ていきます。

【写真1枚目/全5枚】年金生活者支援給付金の支給金額。次の写真で実際の「手続き方法」を解説1/5

年金生活者支援給付金の支給金額

出所:日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」

3.1 老齢年金生活者支援給付金の支給金額

老齢年金生活者支援給付金は、基準額が月額5310円です。前年度5140円から増額したことがわかります。

実際には、こちらの金額を基準に保険料納付済期間等に応じて算出されます。

例えば、1956年(昭和31年)4月2日以後生まれの方で、保険料の納付済月数が480カ月、全額免除月数が0カ月であれば、給付額はそのまま5310円になります。

しかし、保険料納付済期間が少ない人・保険料免除期間がある人などは、それぞれに応じて算出されるため、必ずしもこの支給金額はとなりません。

3.2 障害年金生活者支援給付金の支給金額

  • 障害等級1級:月額6638円
  • 障害等級2級:月額5310円

3.3 遺族年金生活者支援給付金の支給金額

  • 月額5310円

いずれも月額の金額なので、実際には2ヶ月分が一度に支給されます。基準額どおりであれば、年額にすると約6万円になるでしょう。

しかし、初回の年金生活者支援給付金は申請しないともらえません。対象となる方には順次、申請書が送付されています。

4. 年金生活者支援給付金は「手続き」が必要

年金生活者支援給付金を初めて受け取るためには、手続きが必要です。

「すでに年金を受け取っている人」「これから年金自体を新規請求する人」の2パターンで、手続き方法を紹介します。

4.1 すでに年金を受け取っている人

すでに年金を受け取っている人の中には、年金所得の減少により給付金の対象となるケースもあります。

この場合、9月1日以降に年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が送付されるので、請求書の太枠内を記入し、郵便ポストに投函すると手続きできます。

すで年金を受け取っている人の手続き方法2/5

すで年金を受け取っている人の手続き方法

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」

※繰上げ受給している場合は書類の様式が異なります。

なお、一度手続きすると毎年の手続きは不要です。継続支給の判定結果は、前年の所得にもとづき、毎年10月分(12月支払)から1年間反映されます。

4.2 年金自体を新規に請求する人

これから年金を受給するという人の場合、そもそも年金受給自体の請求が必要です。

誕生日の3ヵ月前に老齢基礎年金の請求書が送られてきますが、このとき給付金の請求書も同封されています。

同封された給付金請求書に記載事項を記入した上で、老齢基礎年金の請求書とともに提出しましょう。

老齢基礎年金を新規に請求する場合の申請方法3/5

65歳の誕生日を迎え、老齢基礎年金を新規に請求する場合の申請方法

出所:日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」

最後に、今の高齢者はどれほどの年金収入があるのか確認しましょう。

5. 国民年金・厚生年金は平均でいくら支給されているのか

給付金の対象となるのは、年金額が一定以下の場合です。

厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、厚生年金保険(第1号) と国民年金受給権者の平均年金月額や「受給額ごとの人数」を見ていきましょう。

5.1 厚生年金保険(第1号) 

  • 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万4878円

※国民年金の金額を含む

厚生年金の受給額4/5

厚生年金の受給額のグラフ

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 1万円未満:6万1358人
  • 1万円以上~2万円未満:1万5728人
  • 2万円以上~3万円未満:5万4921人
  • 3万円以上~4万円未満:9万5172人
  • 4万円以上~5万円未満:10万2402人
  • 5万円以上~6万円未満:15万2773人
  • 6万円以上~7万円未満:41万1749人
  • 7万円以上~8万円未満:68万7473人
  • 8万円以上~9万円未満:92万8511人
  • 9万円以上~10万円未満:112万3972人
  • 10万円以上~11万円未満:112万7493人
  • 11万円以上~12万円未満:103万4254人
  • 12万円以上~13万円未満:94万5662人
  • 13万円以上~14万円未満:92万5503人
  • 14万円以上~15万円未満:95万3156人
  • 15万円以上~16万円未満:99万4044人
  • 16万円以上~17万円未満:104万730人
  • 17万円以上~18万円未満:105万8410人
  • 18万円以上~19万円未満:101万554人
  • 19万円以上~20万円未満:90万9998人
  • 20万円以上~21万円未満:75万9086人
  • 21万円以上~22万円未満:56万9206人
  • 22万円以上~23万円未満:38万3582人
  • 23万円以上~24万円未満:25万3529人
  • 24万円以上~25万円未満:16万6281人
  • 25万円以上~26万円未満:10万2291人
  • 26万円以上~27万円未満:5万9766人
  • 27万円以上~28万円未満:3万3463人
  • 28万円以上~29万円未満:1万5793人
  • 29万円以上~30万円未満:7351人
  • 30万円以上~:1万2490人

5.2 国民年金

  • 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
  • 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万4426円

国民年金の受給額5/5

国民年金の受給額のグラフ

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 1万円未満:6万5660人
  • 1万円以上~2万円未満:27万4330人
  • 2万円以上~3万円未満:88万1065人
  • 3万円以上~4万円未満:266万1520人
  • 4万円以上~5万円未満:465万5774人
  • 5万円以上~6万円未満:824万6178人
  • 6万円以上~7万円未満:1484万7491人
  • 7万円以上~:178万3609人

国民年金のみの受給者であれば、所得要件を満たすため年金生活者支援給付金の対象となる可能性が高いでしょう。

6. まとめにかえて

国民年金、厚生年金の上乗せの給付金や実際の年金受給額を確認することで、ご自身の将来の生活のイメージがより鮮明になったのではないでしょうか。

ほとんどの世帯で、老後を迎えると収入が減少すると考えられます。

しかし、インフレの影響でモノの値段は少しずつ上がっていくことを考慮すると、将来必要なお金は増えてくるでしょう。

「将来資金の準備」の第一歩は、自分の将来資金の必要額を算出することです。目標額が決まればそこから逆算をし、毎月貯めていく金額が決まります。

あらかじめ決まった金額を先に貯金に回す「先取り貯金」のようなものも取り入れながら、計画的に準備していくことをお勧めします。

また、老後まで長期間ある場合は、「資産運用」を取り入れることも選択肢のひとつです。

ただし資産運用は銀行預金とは異なり、基本的には元本の保証はありません。

リスクをとって積極的に増やしていく「株」や「投資信託」、リスクが低く安定的に増やしていく「債券」のように資産運用といっても様々です。

話題のものを取り入れるだけでなく自分に合った方法を活用することが何よりも大切です。

参考資料