多くの人の場合、老後の大きな収入源は「公的年金」となりますが、受け取る年金額から「社会保険料」が天引きされていることをご存知でしょうか。
年金受給者であっても、現役時の時と同様に社会保険料を支払う必要があるため、国から通知されていた「額面の金額」よりも、実際の手取り額は少なくなります。
では具体的に、老後の収入源である年金から、どのような社会保険料が天引きされるのでしょうか。
本記事では、老齢年金世代の「社会保険料」について詳しく紹介していきます。
「具体的な天引き額」や「社会保険料の計算方法」についても解説しているので、参考にしてください。
1. 年金からどのような社会保険料が天引きされている?
冒頭でもお伝えしたように、年金も「収入」にあたるため、給与と同じように社会保険料が天引きされます。
年金から天引きされる「社会保険料」は、主に下記2つです。
- 健康保険料
- 介護保険料
年金から天引きされる健康保険料は、「国民健康保険料」と「後期高齢者医療保険料」が存在します。
65歳以上75歳未満の人は「国民健康保険料」が天引きされますが、75歳以降からは自動的に「後期高齢者医療保険料」に切り替わり、年金から天引きされます。
介護保険料は、40歳から天引きされているものですが、現役時は「健康保険料」に含まれているため、あまり馴染みのない方もいるかもしれません。
65歳以降からは、健康保険料とは別に介護保険単独で支払うことになります。
では具体的に、老齢年金世代の社会保険料はいくらくらいなのでしょうか。
次章にて、詳しく見ていきましょう。
2. 老齢年金世代の「社会保険料」の平均はいくら?
総務省の「家計調査報告 家計収支編」によると、年代別における無職の老齢年金世代の社会保険料(健康保険料・介護保険料)は下記の結果となりました。
【写真全枚中1枚目】《年代別》無職の老齢年金世代の社会保険料(健康保険料・介護保険料)、2枚目では《年代別》健康保険料・介護保険料の平均額を掲載1/5
出所:総務省「家計調査報告 家計収支編」を参考に筆者作成
【年代別 老齢年金世代の社会保険料(健康保険料・介護保険料)】
- 65〜69歳:2万405円
- 70〜74歳:1万8717円
- 75〜79歳:1万7266円
- 80〜84歳:1万5229円
- 85歳〜:1万5204円
年代別における、シニア世代の社会保険料は1万5000円〜2万円が平均となっています。
次章にて、「健康保険料」「介護保険料」それぞれの平均額を確認していきましょう。
2.1 社会保険料で負担が大きいのは「健康保険料」
総務省の「家計調査報告 家計収支編」によると、無職の老齢年金世代における「健康保険料」「介護保険料」それぞれの平均額は下記の結果となりました。
健康保険料と介護保険料の平均額を比較すると、健康保険のほうが負担額は高くなっています。
また、年代別に比較すると、75歳以降から社会保険料が徐々に減少傾向にあります。
前章でお伝えしたように、老齢年金世代が加入する健康保険料は、65歳以上75歳未満の人が加入する「国民健康保険料」と、75歳以上の人が加入する「後期高齢者医療保険料」があります。
国民健康保険料と比較すると、後期高齢者医療保険料のほうが負担額が低いことから、75歳以降の社会保険料負担が徐々に少なくなっているのでしょう。
では具体的に、年金額15万円だった場合、65歳以上75歳未満の人と、75歳以上の人でどのくらいの違いが生じるのでしょうか。
次章にて、社会保険料のシミュレーションをしていきましょう。
3. 年金15万円の場合の社会保険料はいくら?
では最後に、社会保険料の計算方法とシミュレーションを紹介していきます。
今回は下記のモデルケースを想定し、シミュレーションをしていきます。
- 東京都練馬区在住の70歳 単身世帯
- 65歳から年金受給を開始し収入は年金のみ
- 年金収入が年間180万円(月額15万円)
- 所得金額(年金から公的年金等控除額を差し引いた金額):70万円
上記のケースから、「65歳以上75歳未満の人」と「75歳以上の人」それぞれの社会保険料を確認していきましょう。
3.1 【国民健康保険に加入】65歳以上75歳未満の人の社会保険料
まずは、65歳以上75歳未満の人の社会保険料を算出していきます。
留意点として、国民健康保険料と介護保険料は、お住まいの地域によって料金が異なるため、ご自身の社会保険料を算出する際は、自治体ホームページで確認してみてください。
東京都練馬区の場合、国民健康保険料・介護保険料の算出方法は下記のとおりです。
【国民健康保険料】
【介護保険料】
上記資料を参考に、社会保険料を算出した結果、下記の金額となりました。
- 国民健康保険料:年額9万6623円
- 介護保険料:年額8万5680円
上記から、今回のモデルケースの場合の65〜74歳までの社会保険料は年額18万2303円となります。
次に、75歳以上の人の社会保険料を算出していきましょう。
3.2 【後期高齢者医療保険に加入】75歳以上の人の社会保険料
75歳以上になると、国民健康保険料から後期高齢者医療保険料に切り替わります。
介護保険料は収入条件が変わらない限りは65〜74歳と同じ金額となるため、ここでは「後期高齢者医療保険料」のみ求めていきます。
東京都練馬区の場合、後期高齢者医療保険料の算出方法は下記のとおりです。
上記資料を参考に、社会保険料を算出した結果、下記の金額となりました。
- 後期高齢者医療保険料:年額2万7500円
- 介護保険料:年額8万5680円
上記から、今回のモデルケースとなる75歳以降の社会保険料は年額11万3180円となります。
4. 老齢年金世代の社会保険料が値上げ
本記事では、老齢年金世代の「社会保険料」について詳しく紹介していきました。
老後も年金から社会保険料が徴収され続け、これは「介護が必要になったから」「病気になったから」といって天引きが終了するわけではありません。
将来、ご自身の年金からどのくらい社会保険料が天引きされるのか、平均額やシミュレーションなどから、事前にある程度想定しておけると良いでしょう。
参考資料
- いわき市「年金を受給されている65歳以上の方の個人住民税(市民税・県民税)の年金特別徴収について」
- 日本年金機構「年金Q&A(年金からの介護保険料などの徴収)」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編」
- 日本年金機構「所得金額の計算方法」
- 練馬区「国民健康保険料の計算方法(令和6年度)」
- 練馬区「65歳以上の方の介護保険料の決め方」
- 練馬区「後期高齢者医療制度の保険料」
和田 直子