5. 「年金」を増やす方法はあるのか?
現シニア世代の老齢年金の平均月額を見て、「年金だけでは不安…」と感じられた方も多いのではないでしょうか。
そんな方は、もらえる年金額を増やす工夫をしてみるのも良いでしょう。
では年金額を増やすコツについて、いくつかピックアップしてみます。取り入れやすいものがあればぜひ参考にしてみてください。
5.1 定年後も働く
定年後も再雇用などで働き続け、厚生年金の保険料を支払うことで、将来の受給額を上げることもできます。
もちろん、働いて得られる収入は60歳までと比べると少なくなる可能性が高いですが、長く働くことでリタイア後の年金額が増えるのは、ひとつの選択肢として考えられるでしょう。
5.2 繰り下げ受給する
年金を65歳以降に受け取ることで、1回あたりの受給額を増やすことができ、これを年金の繰り下げ受給といいます。
年金の繰り下げ受給は、年金を受け取る時期を1ヵ月遅らせるごとに0.7%受給額が増える、というものです。
2022年4月1日以降は75歳まで繰り下げることができるので、最大の増額率は0.7%×10年(120ヵ月)=84%という計算になります。
長生きすればするほどもらえる総額が増えるので、自分が何歳まで働けるのか、家族とも相談をして繰り下げ期間を決めるのが良いでしょう。
5.3 資産運用の活用
公的年金では不足してしまう場合は、私的年金と言われる個人年金保険やiDeCoを活用するのも選択肢のひとつです。
また、近年は新NISA制度など、国が後押ししてくれるような税制優遇制度も主流になりつつあります。
リスクを伴うものではありますが、時間を使えるのであれば上手くリスク分散しながら効率的に将来の資金の積み増しを図ることも可能です。
まずはどういう制度や商品があるのか覗いてみるのも良いでしょう。
6. まとめにかえて
今回は、今のシニア世代が受け取る国民年金と厚生年金の平均月額や、見落としがちな老齢年金の「しくみ」について確認しました。
ご紹介したデータはあくまでも平均額。実際に受け取る年金額は現役時代の年金加入状況によって大きく個人差が出ます。
現役世代のみなさんは「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で将来の受給見込み額を把握しておくことも大切です。
まだ先と思っていても、時が経つのは早いものです。事前準備としてできるところから着手してみましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
笹村 夏来