4. 年金カットを回避するための方法2つ

在職老齢年金による年金カットを回避するためには、以下の方法を検討してみましょう。

  • 労働収入を抑える
  • 年金を繰上げ受給する

在職老齢年金の対象とならないためには、労働収入・年金のどちらかを抑えるしかありません。働きながら満額受給するためのコツを解説します。

4.1 労働収入を抑える

年金と労働収入の合計が50万円以下になるよう、労働による収入額を抑えれば、年金がカットされることはありません。

年金+労働収入の合計を50万円以下にするには、年金受給額が10万円なら480万円、15万円なら420万円、20万円なら360万円までに抑える必要があります。定年後に働く際の給与は、50歳代の給与ほど多くはないため、パートや時間単位での勤務で働き方を自由に決められるのであれば、実践しやすい方法といえるでしょう。

4.2 年金を繰上げ受給する

厚生年金は厚生年金保険への加入期間や給与額によって受給額が決まります。そのため、現役中に「月額10万円になるように」「毎月15万円の年金がもらえるように」といった調整はできません。

厚生年金の年間受給額を少し抑えたい場合は、年金を受け取るタイミングを早める繰上げ受給を活用しましょう。年金の繰上げ受給では、受給開始を1ヶ月繰上げするたびに0.4%減額されますが、最短で60歳から年金の受け取りを始められます。

在職老齢年金の計算に用いる年金額は「月額の老齢厚生年金受給額」です。もし労働収入が多くて在職老齢年金の対象となりそうであれば、繰上げ受給により年金を減額することで、年金+労働収入が50万円を下回るかもしれません。

ただし、繰上げ受給しても年金と労働収入の合計額が50万円を下回らないのであれば、年金受給額を大幅に減らしてしまう可能性があります。在職中の繰上げ受給を検討する際は、おおよその年金受給額を事前に知ったうえで行うとよいでしょう。

5. まとめにかえて

在職老齢年金の制度は「十分な収入がある分、年金をいくらかカットする」という理に適った制度です。しかし、現役時代に働いて保険料を納めて、ようやく受け取れる年金がカットされるということに不満を感じる人もいるでしょう。

在職老齢年金の対象から外れるには、収入をある程度抑えるほかありません。働きながら年金を満額受給できるよう、年金の受給の仕方や働き方を見直してみましょう。

参考資料

石上 ユウキ